Appleのアイルランド Athenryデータセンター拡張をめぐり地元政治家たちの意見が分断
Appleはデータセンター建設のための時間を延長したもののゴールウェイ郡のリーダー側は同意に至らず
Appleがゴールウェイにデータセンターを建設するプロジェクトを再開する許可を得たというニュースは、賛否両論を呼んでいます。
同社は2018年に Derrydonnellでのデータセンター建設計画を断念した後、今年になって同地での計画許可申請を復活させました。今週ゴールウェイ郡議会はこれを承認し、計画許可を2026年まで延長しています。Appleが実際にデータセンターの建設を計画しているのか、それとも単に計画許可を得た土地を売却するだけなのかは定かではありませんが、地元の政治家たちはこの決定に複雑な反応を示しました。
Apple Athenryの武勇伝は続く
地元ニュースメディアの ゴールウェイ・アドバタイザー紙によると、ファインゲール党のゴールウェイ東選挙区議員Ciaran Cannon氏は、この決定は「非常に前向きな進展」だ述べているといいます。同氏はアイルランド議会の Teachta Dála(TD) つまり 同党の下院代表者です。
緑と社会主義の政党People Before Profitはこれに異議を唱えています。同党のゴールウェイ代表エイドリアン・カラン氏は、計画許可の延長は「環境的破壊」であり、データセンターがもたらす雇用の可能性にも疑問を投げかけています。
「Apple社のAthenryプロジェクトは地域に大きな雇用をもたらす、と多くの人がミスリードされている」とカラン氏は述べています。「実際にはAthenryへの恩恵は疑わしいものです。それらの広大な倉庫はメンテナンスも少ないため、豊富で持続可能な雇用を提供するものではなく、また副次的な雇用もほとんど生まれないでしょう。」
カラン氏はアドバタイザー誌に対し「アイルランドでは現在70以上のデータセンターが稼働しており、昨年だけでも拡張は25%増です。これらのデータセンターは、2030年までにアイルランドの総電力需要の30%を消費し、今後10年間に増加する再生可能エネルギーの半分以上を飲み込んでしまうでしょう」と述べています。
ダブリンシティ大学のバリー・マクマリン教授によればアイルランドは経済の脱炭素化という野心的な目標を掲げており、この目標を達成するためには、エネルギー使用量を増やすのではなく、減らす必要があります。教授はアイルランド西部のエニスに60km離れた場所にデータセンターを建設するという案件について話をした際にDCDに対し、気候変動の緊急事態のために、国内での電力使用量の増加は避けるべきだと述べました。
同教授によると「危機の深刻さと我々に残された時間の少なさを考えると、緊急対応として少なくとも今後15年、場合によってはそれ以上の期間をかけて、絶対的なエネルギー使用量を大幅に削減する計画を立てるべきだと思います。暖房や輸送のエネルギーを電気の利用に移行するために電力供給を拡大するのは妥当なことです。しかし現在全く行っていないことを新たに行うために電力供給を拡大するのはどうでしょう?それはまた別の話です。」
Appleは2014年にAthenryの土地を約1,500万ドルで購入し2017年にはデータセンターの計画が承認されていましたが、長期にわたる抗争によってリンゴは地に落ちてしまいました。同社は2018年に計画を断念し2019年に土地を売りに出しています。買い手は発表されておらず、当初の計画許可は2021年9月に期限切れとなる予定です。今回の申請では同社がその許可を2026年11月まで延長することを希望しているとされています。
Apple社は、売却を容易にするために計画許可を復活させただけであるとも考えられています。計画申請書には次のように書かれています。「関連する計画許可が発行された後に開始された司法手続きに関連する遅延、さらに近年のCovid-19パンデミックに起因する複雑な状況のため、対象の開発は実現していません。
今回の延長は、対象となる開発を促進するための十分な時間を確保するために必要です。適切な開発者が特定されれば、可能な限り早急にプロジェクトが実施されることが意図されています。」
2019年にはAppleが同地を「すぐに使えるデータセンター開発用地」として売却したいと報じられており、延長申請によれば書い手が「時間枠内で同意された工事を進めることができるように、プロジェクトを開発する関係者を特定することで、同意された工事の提供を支援したい 」としています。
この記事は海外Data Centre Dynamics発の記事をData Center Cafeが日本向けに抄訳したものです。
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