「お持ち帰り」エッジデータセンター【特集】
数日または数週間だけデータセンターが必要な場合は?
エッジデータセンターというと、何を思い浮かべるでしょうか?大都市にあるエクイニクスやデジタルリアルティの施設?基地局に隣接するVapor IOのコンテナ?市街地のTier3ビルにある数台のラック?あるいは、工場の片隅に置かれた堅牢なキャビネットでしょうか?
これらはエッジデータセンターの一般的な導入形態ですが、共通しているのは「移動できない」という点です。それは、その配置が恒久的なものと考えられているからです。
しかし最近、一時的なコンピュートを必要とするシナリオが増えてきており、そしてそれには持ち運び可能で簡単に設置や撤去ができる「データセンター」が必要とされます。
Schneider Electric社のVP兼ソリューションアーキテクトであるJoseph Reeleは、次のように述べています。「もし、一度構築したものをそのままにしておいて、年に一度しか使わないとしたら、経済的に良い投資とは言えないでしょう」
「これは、洪水やハリケーン(あるいは台風)などの自然災害によって、そこにあったインフラが破壊されたり、破壊されないまでも性能に重大な影響を被った場合の、想定外のニーズに応えるものです」
これは目新しいことではありません。サン・マイクロシステムズは、2006年にProject Blackboxと呼ばれる「データセンター・トゥ・ゴー」を発表しました。しかし、その運命はサンの消滅とともにすぐに干上がってしまいました。
今回紹介する新しいポータブルデータセンターは、輸送用コンテナよりもはるかに小さなサイズです。
どのくらい小さいのでしょうか?「 この4ブレード・クラスターのサイズはユナイテッド航空の機内頭上の荷物入れに入るくらいの小ささです」 HPEのコンバージド・エッジ・システムのグローバル・プロダクト・マネジメント&ストラテジー・ヘッドのBharath Rameshはこのように話しています。
「私と同じように飛行機に乗ったことがある人ならわかると思いますが、バックパックを入れることすらできないこともしばしばあります。その頭上荷物入れに、4ノードのAzure Stack HCIクラスターと商用キャリーケース、スイッチング電源など必要なものをすべて入れることができるんです。これは小さいですよね。誰もがそう思うでしょう」と彼は付け加えます。
HPE EL8000は、128コア、80テラバイトのストレージ、6テラバイトのメモリ、10ギガビットのネットワーク、デュアルネットスイッチ、冗長電源、セキュリティ、そして管理性を備えています。
「このパッケージは、当社のデータセンタークラスと同じです。これだけ小さいパッケージで、圧倒的なパフォーマンスが得られるわけです」とRameshは言います。
「ポータブルデータセンターは、よりカスタマイズされ、緊密にインテグレーションされている、とデル・テクノロジーズのエッジ・エンジニアリング・テクノロジー担当VPのPierluca Chiodelliは言います。ハイパーコンバージドインフラ(HCI)をさらに極端にしたようなものと考えられます。
「内部的には通常のデータセンターと同じで、顧客はニーズに合わせてコンポーネントを選択することができる」と彼は説明します。
「電力供給、密度、冷却オプション、耐障害性、セキュリティ、アクセス性、運用など、お客様やITニーズに合わせて最適化することができるのです。選んだものはすべてパッケージ化されて工場から出荷され、お客様のもとに設置されます」
まだまだ黎明期
IDCのワールドワイド・インフラストラクチャ・プラクティスのVPであるDave McCarthyは、さまざまな状況下で一時的にデータセンターを利用する傾向があることを確かに耳にしていると言います。
この市場はまだかなり新しいので、McCarthyは共有できるデータポイントを持っていませんでしたが、彼はこの分野における上位5社として、Schneider Electric、Dell Technologies、HPE、Vertiv、Microsoftを挙げています。
IDCでは、次のようなシナリオでこれらの一時的なエッジデータセンターが利用されるだろうと考えています。
- 軍事/防衛
- 災害対応
- スポーツイベント
- メディア/エンターテインメント制作
- 石油・ガス探査
- 建設現場
これらのユースケースでは、スピードとバリュー、業界用語でいうところの低遅延と高帯域という2つの要素が要求されるとReeleは言います。「例えば4Kビデオは、そのデータを伝送するために多くの帯域を必要とします。ですから、接続されたモノが私たちの周りに増えてくると、このようなユースケースはその要求を開拓し始めます」
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