日本人デザイナーが提案する、気候変動に負けない浮遊都市とは?

N-Arkのコンセプトサイトでは、ヘルスケア、農場、海中データセンターが紹介されています

株式会社N-ARK|ナークは、人類が浮遊都市に居住し、気候変動の懸念からの脱却を目指す提案をしています。

N-ARKが提案する「Dogen City」のウェブサイトによると、医療サービスを提供する環状浮体の中に住宅、店舗、オフィスが設けられ、また海水で作物を栽培する農場も含まれています。

都市デザインでは、都市管理、ヘルスケア、創薬のための海中海水冷却データセンターが提案されています。また、海中エッジデータセンターの建設も視野に入れているといいます。

この野心的なプロジェクトは、今週のプレスリリースで発表されました。 N-ARKはまた、このプロジェクトの舵取りをするコンソーシアムについても発表しました。

この都市計画は、直径1.58km、外周約4km、徒歩でおよそ1時間という比較的小さなものです。 「人口約1万人で、都市としての機能はあるが、住みやすさは小さな村のようなもの」

ビジネスモデルは、気候破壊の現実から逃れるための富裕層向けの温泉施設のようです。「 Dogen Cityは、海水農業と複雑な養殖によって生み出された食品、料理、海水温泉を組み合わせた医療観光を提供しています」

「また、自然災害の被害者や気候変動による難民の受け入れや高度な教育も行っています」、とN-ARKは補足しています。

データセンターは海水で冷却され、このプロジェクトでは、海上の住民に採血やゲノム解析などの遠隔医療を毎日行っています。「医療データとゲノムデータを組み合わせることで、個人の健康状態をより正確に評価し、海中エッジデータセンターでの演算処理による創薬シミュレーションや遠隔ロボット手術などの最先端医療を受けることが可能になります」

同社は、気候変動を反転させる取り組みが失敗した場合、日本は水害による大きな影響を受けるという懸念(すでに水害による被害は増加している)に応えるため、2021年に建築系のスタートアップとして発足しました。

「2018年と2019年、日本の水害被害総額は約2兆1500億円(153億5000万ドル)、全国で約1兆4050億円(100億ドル)に達し、津波以外の水害による被害額としては統計開始以来2年連続で最大となりました」 同社の発足声明には、このように記されています。

同社は、「2030年にCo2削減対策が進まない場合、日本全国で600万人もの人が水害による被害を受ける可能性がある」とし、とりわけ農業が大きな影響を受けるとしています。

これに対し、N-ARKは、SpaceXの「New Space」になぞらえて「New Ocean」というスローガンを掲げ、海面を商業的に開発しようと考えています。

N-Arkは耐塩性のある浮体式農場を提案し、「Arktecture」(Ark+Technology+Culture)という造語を考案しています。

2024年3月の浜名湖花博での実証実験に向け、N-ARKのパートナーの一社である農業テック企業Cultiveraが、浜松市、浜名漁業協同組合と浜名湖で2021年後半に最初のプロトタイプ農場と実験を開始することになっています。

同社の動画では、「気候変動をプラスに変えることができる」とし、Dogen Cityに気候変動に適応する機能を盛り込むことを約束しています、「日々の心身のセルフケアを促進し、様々なプログラムも体験できます」

もし浮遊都市が十分に未来的でないのなら。N-ARKはさらに、「ロケット移動サービスの発着場として、宇宙、海、地上をつなぐ新しい観光産業を開発する」と約束しています。

同社は、海面開発に必要な技術や法律、規制などに取り組む産学官のコンソーシアムを約束しています。

プロジェクトのボードメンバーには、東京大学医学部教授の鄭雄一氏、サイバーセキュリティ企業Hexa Agency LLC 代表の佐々木ハーマン理恵氏、養殖企業株式会社Cultivera 代表取締役 豊永 翔平氏、廃棄物処理企業株式会社Recotechの代表取締役 野崎 衛氏、自然電力株式会社 代表取締役 磯野謙氏、宇宙スタートアップ企業 株式会社Midtown 代表取締役CEOの中村 貴裕氏らが名を連ねています。

この記事は海外Data Centre Dynamics発の記事をData Center Cafeが日本向けに抄訳したものです。

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