報告書が明らかにする、インフラから見た気候とは?

2021年の国連気候変動枠組条約国会議(COP26)に先立って発表された新しい報告書は、政府がインフラを計画、提供、管理する方法を根本的に変えることを求めており、気候変動対策、緩和策、適応策においてインフラが果たす役割が見過ごされがちであることを強調しています。この報告書は、国際連合プロジェクトサービス機関(UNOPS)、国際連合環境計画(UNEP)、オックスフォード大学の3者が共同で作成したもので、「Infrastructure for climate action(気候変動対策のためのインフラストラクチャ)」と題されています。

本調査では、エネルギー、輸送、水、固形廃棄物、デジタル通信、建築物の各分野において、インフラが気候変動対策に与える影響を詳細に調べています。その結果、インフラは温室効果ガス排出量の79%、適応コストの88%を占めており、パリ協定や持続可能な開発目標を達成する上で、非常に重要なセクターであることが明らかになりました。

ここでは各国政府に対し、インフラを気候変動対策の優先部門として扱うこと、またインフラからの排出に取り組むための統一的な計画を求めています。

著者らは気候変動に取り組むためには、各国政府がインフラの計画、提供、管理方法を抜本的に見直し、低排出でレジリエンスのある未来に適したものにする必要があると主張しています。

報告書ではインフラプロジェクトに気候変動への適応・緩和策を取り入れつつ、長期的な持続可能性を確保するために、現場が取るべき重要なステップを紹介しています。また各国の事例に焦点を当て、国の気候・開発目標の達成に貢献したインフラプロジェクトを紹介しています。

本報告書の発行にあたり、国連事務次長兼UNOPS事務局長グレーテ・ファレモは次のように述べています。「私たちの世界は前例がなく、激しさを増し、場合によっては取り返しのつかない変化を伴う、気候の緊急事態に直面しています。行動する時間はまだありますが、早急に実行する必要があります。」

「本報告書は、気候変動の最悪の影響を食い止めるためには、インフラへの取り組み方を根本的に変える必要があることを強調しています。今日行われるインフラの決定が、私たちの共通の未来の質を決定することになるため、これを正しく行うことが究極的に重要です。」

国連事務次長兼UNEP事務局長インガー・アンダーセンは、インフラのギャップを解消し、世界中の人々の生活の質を向上させるためには、将来の不確実な気候条件に適応する持続可能なインフラに投資することが重要であると付け加えました。「インフラは、経済の脱炭素化に貢献し、生物多様性を保護し、汚染を最小限に抑えるものでなければなりません。持続可能なインフラこそが、人と自然と環境が共に繁栄するための唯一の方法なのです。」

オックスフォード大学のジム・ホール教授(気候・環境リスク学)もこれに同意し、「中心となる問題は、インフラが必要かどうかではなく、持続可能で弾力性があり、ネットゼロの未来と両立する方法で、どのようにインフラを提供できるかである」と付け加えました。「気候変動に対応したインフラをどのように提供するかという問題には、単純な答えはありません」と彼は言います。「気候に適合したインフラをどのように提供するかという問題には、単純な答えはありません。インフラプロジェクトを最初に構想したときから、その寿命が尽きて廃棄されたり再利用されたりするときまで、無数の選択が必要です。」



Digital Infra Network ( Mark Venables 記者)より抄訳・転載



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