キヤノンが同社初のナノインプリント半導体製造装置を出荷、ASMLに対抗

キヤノンは、同社初のナノインプリント半導体製造装置をTexas Institute for Electronics(TIE)に出荷したと発表しました。

同社が2023年10月に発表したこの装置「FPA-1200NZ2C」は、ASMLの紫外線(EUV)および深紫外線(DUV)フォトリソグラフィ技術に代わる低コスト装置であるとアピールしています。

キヤノンはこの装置の価格を公表していませんが、同社が初めてこの技術を発表した際、御手洗冨士夫 代表取締役会長兼社長は、価格は「ASMLのEUVより1桁安い」と述べていました。なお、オランダに本社を置くAMSLの高開口数NA極端紫外線(High NA EUV)装置の最新バージョンは現在、およそ3億7000万ドルで販売されています。

キヤノンのナノインプリント半導体製造装置の低価格化により、小規模メーカーでも最先端の半導体を製造できる可能性が生まれます。

キヤノンの新技術は、回路パターンをレジスト塗布ウエハーに投影して転写する従来のフォトリソグラフィー装置とは異なり、ウエハー上のレジストに回路パターンを刻み込んだマスク(型)をハンコのように押し付けて回路パターンを形成します。また、従来の製造工程にあった光学機構が不要となり、装置の所有コストを削減できます。

また同社は、この装置は5nmノードまで製造可能で、技術がさらに洗練されれば、最終的には2nmノードの製造も可能になると述べています。

Texas Institute for Electronicsは、テキサス大学オースティン校が支援する半導体コンソーシアムで、AMD、アプライド・マテリアルズ、インテル、マイクロンが参加しています。

TIEはそのウェブサイト上で、「米国半導体産業の商業・防衛両部門の戦略的長期的成功に不可欠な、技術リーダーシップの提供、重要な研究・製造インフラの構築、人材育成努力の確立 」を目指していると述べています。

この記事は海外Data Centre Dynamics発の記事をData Center Cafeが日本向けに抄訳したものです。

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