NebiusがMetaと30億ドル規模の契約を締結、2026年末までに2.5GWを目指す

現行のクラウド容量はすでに完売、欧州ネオクラウドのQ3設備投資は10億ドルに達する勢い

欧州のネオクラウド企業Nebiusは、Metaと30億ドル規模の契約を締結し、今後5年間にわたり同ハイパースケーラー企業にAIインフラを提供することを発表しました。

同社の創業者兼CEOであるArkady Volozhによれば、Nebiusは今後3か月以内にサービス契約を満たすために必要な容量を展開する計画であるとのことです。

この取引に関する詳細は明らかにされていませんが、同氏は株主への書簡の中で、容量に対する需要が供給を上回っており、Metaとの契約規模は利用可能な容量に制限せざるを得なかったと述べています。

9月上旬、Nebiusはマイクロソフトと194億ドルの契約を締結しました。これによりハイパースケーラーは、10万基以上のNVIDIA GB300チップへのアクセス権を獲得すると見込まれています。

Nebiusは現在、利用可能な容量がすべて売り切れ状態であるとしています。

今回の契約は、同社の2025年第3四半期(Q3)未監査決算と同時に発表されました。決算によると、同四半期の売上高は1億4,610万ドルで、前年同期比355%増、前期比39%増となりました。

Nebiusの当四半期設備投資(Capex)は、前年同期の1億7,210万ドルから9億5,550万ドルへと急増しました。同社は2026年末までに、年間売上高ランレートを70億~90億ドルに引き上げることを目標としています。

同氏は書簡で「2025年の収益成長を制約している唯一の要因は、オンライン化できる容量の不足だ」と述べ、2026年に向けてそのボトルネック解消に注力すると強調しました。

「前四半期、2026年末までに契約電力を1GWと見積もりました。現在、2026年末までに契約電力の総量を、約2.5GWにするための追加の用地を確保する過程にあります。この契約量のうち、2026年末までに800MWから1GWの電力供給(建設されたデータセンターに供給できる電力)が実現すると予想しています」と同氏は述べています。

さらに、2027年以降の成長を維持するため、同社は社債、資産担保証券、そして最大2,500万株のクラスA株式を対象とするAt-the-Market(ATM)増資プログラムを導入する予定で、11月12日に目論見書補足を提出する計画です。

同氏は、次のように述べました。「2025年は、将来の急速な成長に向けた基盤と枠組みを構築する年でした。今年は、2026年を素晴らしい年にするための基盤を成功裏に築いたと考えています。この年は、当社を世界のトップAIクラウド事業者の一角に確固たる地位で位置付けるべき年です。同時に、2026年はまだ始まりに過ぎません。」

Nebiusは昨年、ロシアのテック企業Yandexの欧州事業が別の事業体に分社化された後、設立されました。アムステルダムに本拠を置く同社は、Yandexのフィンランドデータセンター、AI部門Nebius AI、データ企業Toloka AI、教育テックプロバイダーのTripleTen、自動運転企業Avrideを傘下に持ちます。

先週、英国サリー州にあるArk Data Centres’ Longcross Park campusに、4,000基のNVIDIA B300 GPUクラスターを導入しました。

米国では、DataOneと提携しニュージャージー州に300MWのデータセンターを開発中であり、第1フェーズは2025年夏に稼働開始予定です。Nebiusはまた、ミズーリ州カンザスシティに建設予定のデータセンターでもスペースをリースする計画です。

同社は、アイスランドとフランスにもコロケーション拠点を有しており、フランスでは、パリのEquinix施設を利用しています。2025年5月、イスラエル政府のイノベーション庁が一部資金を提供する1億4000万ドル規模の国家スーパーコンピュータを、イスラエルに建設・運営すると発表しました。

この記事は海外Data Centre Dynamics発の記事をData Center Cafeが日本向けに抄訳したものです。

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