ThalesとGoogle、フランス政府系クラウドサービスの合弁会社を設立
米国のテクノロジーを利用した欧州のソブリン・クラウドの台頭
ThalesとGoogleは、フランスで政府系向けソブリン・クラウドサービスを提供するための新たな共同事業を発表しました。これは政府機関向けの「ソブリン・ハイパースケールクラウド提供」を共同開発する戦略的合意です
新会社は、フランスの情報システムセキュリティ機関(ANSSI)が定めた「トラステッドクラウド」要件を満たすクラウドサービスを、現地の公共・民間企業に提供します。
Thalesのセキュア・コミュニケーション・アンド・インフォメーション・システム部門のEVPマーク・ダーモンは次のように述べています。「Google Cloudとのユニークなコラボレーションにより、自社および顧客のデータの管理と主権を維持したいと考えている、あらゆる規模や業種のデジタルトランスフォーメーションを支援することができるでしょう。私たちは、政府が定めた信頼できるクラウドの基準に加え、環境目標にも対応し、持続可能なアプローチでインフラを構築していきます。」
フランスの大手防衛企業Thalesは新会社の過半数の株主となり、フランスでホストされた別のネットワークとサーバーからGoogle Cloudのサービスを提供する予定です。
「ThalesとGoogle Cloudは最も革新的で信頼性の高いソリューションをフランスの企業や公共機関に提供するという共同ビジョンを持っています。新会社の設立を含め、フランスの市民や政府機関の懸念に対応するための独自のアプローチにより、フランス政府が求めるセキュリティ、プライバシー、主権を損なうことなく、クラウドの革新性と俊敏性の恩恵を受けることができます」とGoogle CloudのCEOトーマス・クリアンは述べています。
新しいクラウドでは、ID管理、データの暗号化、管理、監督を新会社が行うことで、ローカルにセキュリティを確保します。
「フランス政府の国家クラウド戦略では、高性能で信頼性の高いクラウドサービスを利用・推進する姿勢が明確に示されています。ANSSIは、これらの基準を満たすこの野心的なプロジェクトを熱烈に歓迎します」と、ANSSI事務局長のギョーム・プパールは述べています。
フランス政府は 5月、国家や企業の最も重要なデータをGoogleやMicrosoftの技術を使ったクラウドに保存することができると発表しましたが、これはフランス企業にライセンスされたものです。
今年初め、キャップジェミニとオレンジは、フランスの国家および重要インフラの厳しい主権要件を満たし、マイクロソフトのサービスを再販するために、「Bleu」と呼ばれる新しいクラウド会社を設立する計画を発表しました。一方、オレンジ社は、自社のITのほとんどをGoogle Cloudに移行しています。
Googleは先月、ドイツテレコムと協力してT-Systemsが管理するインフラからGoogle Cloudサービスを提供するGerman Sovereign Cloudを設立すると発表しました。
イタリアではテレコム・イタリア(TIM)が、防衛グループのLeonardo、国営金融機関のCDP、国有IT企業のSogeiとともに、9億ユーロ(10億7,000万ドル)規模の「イタリアン・クラウド・ハブ」の設立を目指して入札を行っています。Google、Microsoft、AWSなどの米国のクラウド大手は、ハブプロジェクトに参加する企業にライセンスを供与すれば、自社の技術を国のクラウド・ハブに提供できると関係者は述べています。
ドイツテレコム、オレンジ、キャップジェミニ、レオナルド、Sogei、TIMは、欧州の要件を満たす相互運用可能なクラウドサービスのフレームワークを構築し、米国の大手プロバイダーへの依存度を下げることを目的としたGaia-X 連邦データ流通基盤 のメンバーでもあります。
この記事は海外Data Centre Dynamics発の記事をData Center Cafeが日本向けに抄訳したものです。
コメント ( 0 )
トラックバックは利用できません。
この記事へのコメントはありません。