Akamai、Linode ベースの「Connected Cloud」プラットフォームを発表

よりエッジフレンドリーなクラウド、そして低額のエグレスチャージ

コンテンツ・デリバリー・ネットワーク(CDN)企業の Akamai が、買収したクラウド企業 Linode に基づくプラットフォーム、「Connected Cloud」 の提供を開始しました。

Akamai Connected Cloud は、AWS や Azure に代わる、より分散型のクラウドとして開発され、2022年2月に Akamai が 9 億ドルで買収した Linode の 11 拠点を超える、より多くの拠点から提供されます。Akamai はまた、「クラウドデータ転送に CDN のような経済性をもたらす」ことに基づき、より安価なエグレス料金でクラウドコンピューティング・コストを抑えていくことを約束しています。

2003年に設立された Linode は、アメリカ、カナダ、ドイツ、イギリス、インド、日本、シンガポール、オーストラリアにある 11か所のデータセンターでコロケーションスペースを運営してきました。Linodeのホスト企業には、アトランタのDataBank、シンガポールのPacnet、フランクフルトのTelecityが含まれています。

Akamai はコンテンツ・デリバリー・ネットワークの草分け的存在で、もともとはユーザーへのインターネット・ページの配信を高速化するために前世紀の後半に設立され、現在は 135 カ国に約 4,100 の拠点を持ち、配信をサポートするためのラック機器を各地に展開し、コンテンツ配信を行っています。

その他の CDN 企業と同様、Akamai も自社のサービスと、ユーザーやデータソースに近い場所でアプリケーションを提供することは、中央集権型クラウドの弱点を補おうとするエッジデータセンターのコンセプトと類似していることに気づきました。Cloudflare、Akamai、Fastly などの CDN 企業はいずれも、エッジアプリケーションにおける CDN の役割を拡大するための取り組みを進めています。

このような取り組みは、サーバーレス・コンピューティングによるCDNより上流方向への拡張に基づいています。Cloudflare は自社の CDN でエッジアプリケーションをサポートする目的で The Workers API を提供し、一方 Akamai も以前、似たような名称の EdgeWorkers コンテナを提供していました。

今やAkamai はクラウドサービスプロバイダを自社所有し、Linode サービスを新たな市場へ拡大していくことを約束しています。また、Linode プラットフォームで開発されたまったく新しいクラウドサービスについての立ち上げも予定しています。Akamai によると、このクラウドは開発者が構築する戦略的コンピューティングサービスをサポートし、「企業やユーザーのより近くで動作する」ワークロードを実現するとのことです。

Akamai は、2023年第 2 四半期末までに Linode プラットフォームを新たに米国の 3 拠点へと拡張し、さらに世界各地に 10 拠点を追加する計画です。Linode は、2023 年末までにインド、ブラジル、インドネシア、日本、スウェーデン、イタリア、フランス、オランダが接続される予定であることを明らかにしました。

尚、同社は DCD に対し、これらのサイトは既存の Akamai CDN ネットワーク内のロケーションをベースにする予定であると述べています。

さらにAkamai は、「基本的なクラウドコンピューティング機能を、従来のクラウドプロバイダーによるサービスが行き届いていない、到達困難な場所に提供する」新しいウェブプラットフォームに適した都市を 50 以上特定したと述べています。

分散型という特徴を生かした競合に加え、Akamai のサービスは、「クラウド・エグレス」、つまり特定のクラウドサービスから送信されるトラフィックの料金の削減も意図しています。クラウド大手各社が適用しているこれらのコストは、しばしば過剰であると考えられており、Akamai は「CDNのような経済性をクラウドデータ転送にもたらすことで、クラウド・エグレスのコストを引き下げる」ことを約束しているのです。

「従来の種類のクラウドアプリケーションから期待されるよりも高いスループットが求められる次世代のアプリケーションやサービスがある」と、製品管理担当バイスプレジデントの Shawn Michels 氏は発表会見で述べています。「既存のソリューションでは、このような高いスループットやエグレスボリュームに対応できないというのが、市場からのフィードバックなのです」

このサービスは、ISO、SOC2、および HIPAA 標準コンプライアンスに準拠し、Akamai のクラウド間や他のパブリッククラウドにワークロードを移動するためのサービスとともに、すぐに利用可能になる予定です。

Akamai はさらに、認定テクノロジーパートナーが新しいプラットフォームでアプリケーションを展開するためのトレーニングを受けることができる、パートナープログラムについても公開しました。

Akamai の共同創立者兼 CEO、トム・レイトン博士は次のように述べています。「当社は、世界の大企業向けにインターネットの拡張とセキュリティ対策を 25 年間にわたって実施してきた経験をもとに、クラウドコンピューティングに対してこれまでとは根本的に異なるアプローチを取っています。アカマイは、次の 10 年が必要とするクラウドを構築しています」

Akamai Connected Cloud を担当することになった Akamai の Cloud Technology Group COO、Adam Karon 氏は次のように述べています。「クラウドは、より大きなビジネス課題を解決するための足がかりとなるものです。ビジネスリーダーは、デジタル変革の勢いを持続し、デジタル化が進む世界で組織に可能なことの限界を広げたいと考えています」

この記事は海外Data Centre Dynamics発の記事をData Center Cafeが日本向けに抄訳したものです。

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