中国が海底データセンターを発表

中国の海洋専門企業のBeijing Highlanderが、広東省の港、珠海で海底データセンターを発表しました。

気密圧力容器には、サーバラックが収容され、海岸からの複合ケーブルは電力供給及びインターネット接続を提供し、そして海水で冷却されます。Highlanderが以前に明らかにした詳細によると、これは海南島に計画されている巨大な自由貿易港のパイロットプロジェクトから始まり、中国の海岸に接続される水中データセンター設置プロジェクトの一部であると言います。

エネルギー需要の削減

「データセンター開発の最大のボトルネックはエネルギー消費です。大量の電力を消費し、そして一瞬も止める事はできません。そこで海水を使用するとエネルギー消費を約30%削減できる」HighlanderのVPであるXu Tan氏はこのように述べていると中国新聞社は報じています。また彼女は、年間経済規模3,000億元(460億ドル)のデータセンターが新しいインフラストラクチャに不可欠であると述べています。

Highlanderは、海南自由貿易港、広東-香港-マカオグレーターベイエリア、長江デルタ、環渤海経済圏などの沿岸海域で、今後5年間で一連の海底データセンタープロジェクトの建設計画があると主張しています。同社は現在、2021年6月から2022年5月にかけて実施される試験用の用地選定、ケーブルの敷設や試運転に携わっています。その時点で、施設は政府や科学研究機関、金融機関へのプロモーションが行われ、2023年下半期に商用化される予定であるとZaotechは報じています。

海底データセンターは、貴重な土地を使用せずに容量を提供でき、冷たい海水のおかげでエネルギー効率が高く、世界の海岸を中心とする大都市の近くに配置できます。このコンセプトは元々、スコットランド沖の海域で12ラックのデータセンターを2年間運用したMicrosoftのプロジェクトNatickにより開拓されたものです。

Natickの実験では、窒素環境内に置かれた機器が、地上の従来データセンター内で稼働するサーバよりも8倍信頼性が高いことが発見されました。

Highlander船はラック4架を収容している模様であり、同社は8倍の信頼性の改善を約束しています。また、陸上からの電力は風力、太陽光、潮力などのオフショアの再生可能エネルギーで補完される可能性があり、そして施設は大量生産や設置の容易性を保ちつつ、低コスト、低遅延、高信頼性、安全性を提供すると言います。

Highlanderは8月、海南自由貿易港(FTP: free trade port)の開発の一環として、海底データセンターの建設計画を発表しました。海南FTPは、南シナ海に浮かぶ35,000平方キロメートルの海南島全体を中国最大の経済特区に変貌させる計画です。また、商品に対する関税はゼロで、観光とハイテクセクターに特に重点が置かれています。党委員会書記で海南省ビッグデータ管理局長のDong Xuegeng氏の説明によると、ここは習近平国家主席が個人的に計画し推進したとの話しです。

自由貿易港にはデータセンターに対する大きな需要が存在しますが、その熱帯気候が欠点となる可能性があります。大規模なデータセンターは低温環境で最適に動作しますが、海南は赤道の北緯19度に位置し、低地で高温環境です。陸上のデータセンターでは冷却に多くのエネルギーを消費してしまいますが、地域の水温は24°C(75.2°F)程度であり、それはデータセンターの冷却に完全に適していると言えます。

「どのように大規模データセンターを構築し、情報の交差点に着手すればよいか?自由貿易港の建設は私たちに重要な責任を与え、この問題を解決する必要がある」とDong Xuegeng氏は述べているとZaotechは報じています。

海南プロジェクトでは、Highlanderはパートナーとして、China Mobile Lenovo、China Communications Service Construction、Qi’anxin Technology Groupと契約しました。

8月に行われたイベントでは、中国科学アカデミーの学者であるNi Guangnan氏、上海交通大学の学部長であるYang Qi教授、およびYunda Institute、Lenovo、China Mobileの幹部らが出席していました。

Highlanderはこれまでにも、船舶の自動化、ナビゲーション、テレメトリーなど様々なプロジェクトに取り組んできました。

DCDは今後も引き続きHighlanderと連絡を取り、このプロジェクトに関する情報を更新していきます。

Data Center Dynamics

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