中国の水中データセンターが稼動開始
中国・海南島沖で計画されていた世界初の商用水中データセンターの運用が開始されました。
中国の海洋企業Offshore Oil Engineering Company(COOEC)は、2021年5月に発表したプロジェクトで海南自由貿易港沖の水深20mに展開するため、天津臨港の製造拠点で本格的なデータキャビンの製作を開始しました。プロジェクトリーダーであるHighlanderは、これまでにも水中キャビン内でデータセンター機器を稼働させる試験を行っており、周囲の海水で冷却して効率的に運用することを意図しています。
稼働開始ステーション
Highlanderは海南の原子力を利用した低排出電力で、陸上と電源・データケーブルで接続された、各サーバーラックに100台のデータキャビンを想定した海中施設の建設に1月に契約しました。
COOECの発表によるとキャビン重量は1,300トン(自動車約1,000台分)、陸上との接続は直径3.6メートルの「プラセンタ」タンクで行うとのこと。COOECによれば、これは世界最大の海底データキャビンとなります。ただし2020年にはマイクロソフトの最新のNatick配備が終了するため、Highlanderの小型試験船以外では唯一の海底データキャビンとなります。
COOECとHighlander社は、海水の圧力や腐食に耐えられる構造とシールを持つシステムを開発する必要があり、さらにリサイクル可能な外部循環配管を設計しました。
COOECは海洋エンジニアリング設備会社として、データキャビンモジュールの設計、調達、製造、試験、陸上輸送、船体固定を担当し、データキャビンモジュールの初号機を納入します。
Highlanderはエネルギーや水の消費量が少ない、建設費が安い、土地が節約できる、信頼性が高いなどのメリットを挙げています。「エネルギーと資源を効果的に節約し、テクノロジー、ビッグデータ、低炭素、グリーンを統合した新しいタイプの海洋工学であり、データ産業のグリーン開発を促進するための遠大な意義がある」と、最新のリリースには書かれています。
このプロジェクトは商用ですが、三亜市、Beijing Highlander、その子会社Hi-Cloudが、海南省国有資産監督管理委員会と共同でバックアップする「海南海底データセンター実証プロジェクト」と銘打たれています。
COOECは、石油・ガス産業向けのオフショアエンジニアリングの歴史があり、海南データセンタープロジェクトにより、「従来のオフショア石油・ガスエンジニアリング製品から、新しいオフショアビジネスへの拡大 」が可能になると述べています。同社はグリーン・低炭素戦略を掲げ、液体天然ガスなどの「クリーン」エネルギーを強調し、洋上風力発電などのグリーン海洋エンジニアリング産業への参入を図っています。
この記事は海外Data Centre Dynamics発の記事をData Center Cafeが日本向けに抄訳したものです。
コメント ( 0 )
トラックバックは利用できません。
この記事へのコメントはありません。