富士通研究所、サーバー実装密度を向上させるアルゴリズム開発

富士通研究所は、データセンターのラックあたりのサーバ実装密度を向上させる仮想サーバ制御のアルゴリズムを開発したと発表しました。この取り組みは、サーバーの定格電力を管理し、サーバーの負荷に応じて給電ロードを切り替えることで、ラックの給電を最大限活用できるようにするものです。
富士通研究所によると、このアルゴリズムによりラックの稼働効率は90%の状態で、かなりのフロアスペースを削減することが可能であるとのことです。
(富士通研究所の発表によると、スペースを40%削減できると試算されています。)
この制御技術は、インフラ運用管理ソフトウェア「FUJITSU Software ServerView Infrastructure Manager」に2018年度中に実装される予定です。今回の発表は、27日にホノルルで開催された「 IEEE クラウドカンファレンス2017」で公にされました。

できるだけ最大の電力量を使うために

ラックに搭載されるサーバー数は、サーバーの定格電力の合計値によって定められ、その合計値はラックが給電できる総量を超えてはいけません。しかし、ほとんどのサーバーは大抵10~50%の負荷で稼働しており、ラックの電力使用量も低い状態のが実情です。
この課題を解決するためにこれまで取り組まれてきたのが、「 パワーキャッピング 」です。パワーキャッピングは、ラックの給電量以上の定格電力合計値のサーバーをラックへ搭載し、サーバーの電力使用量が上昇した際に抑制する仕組みです。パワーキャッピングは確かにサーバー実装密度を向上させましたが、パフォーマンスに悪影響が及ぼされる可能性もあり、ミッションクリティカルな場では使用しづらい側面がありました。

アルゴリズムの詳細

富士通研究所の研究者たちは、電力供給をできるだけ最大限利用できるように提唱しています。
以下、富士通研究所の公式発表から、今回リリースされた仮想サーバー制御アルゴリズムに関する説明:
「VM管理ソフトで構築した仮想データセンターでは、クラスタと呼ぶ物理サーバの論理的な管理単位を定め、クラスタ内の物理サーバは、異なるラックへの収納など物理的な制限が無く、故障時やメンテナンスによりサーバが停止した際などクラスタ間のVMのマイグレーションが自動で行えますが、実際の物理的なサーバのレイアウトは、必ずしも考慮されていませんでした。今回、データセンターの管理で標準的に利用できる API を用いて、サービスを展開する区画のサーバの物理配置(運用区画)と給電量に近づいた時にVMを移動させる先となる予備の区画のサーバの物理配置に関するデータベースを構築し、サーバから収集した刻々と変化する電力使用量を、サーバのシリアル番号・ラック番号と紐づけて収集・管理することで、ラックへの給電量を越えないように制御する技術を開発しました。これにより、運用区画の実装密度が向上し、スペース削減を実現します。」
富士通研究所は、「本技術の適用により、データセンター内のサーバ実装密度の向上が可能となり、設置スペースの大幅な削減が期待できます。負荷変動が正規分布で予測できるようなクラウドサービスを提供する用途において、一例として、サーバラックの稼働効率が50%で10区画を使い運用しているデータセンターに対し、今回開発した技術を用いて5区画でサーバラックの稼働効率が90%となるように制御して運用した場合は、適用前と比べて40%のスペースの削減が行えます。」と効果を述べています。

– Data Center Dynamics
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