日本発、液浸技術で省エネデータセンターを実現

日本のデータセンター事業者であるKDDIや NTTデータは、サーバーハードウェアの冷却にかかる無駄なエネルギーを大幅に削減するため、液浸技術の導入を検討しています。

KDDIの最近のフィールドテストでは、従来の空冷システムと比較して、温度制御のための電力消費を94%削減するという素晴らしい結果を得ています。KDDIのソリューション事業のエキスパートである加藤正人氏は、「IT機器は主要な電力消費源と思われがちだが、データセンターで消費される全体の電力の約半分は冷却に使われている」と説明します。

KDDIが検証した冷却システムは、サーバーをオイル内に沈めて熱をオイル内に伝導させ、冷却水に変えて外気に放出するというものです。循環ポンプを使用することで効率よく熱交換を行うとともに、オイルの断熱効果でショートの心配もありません。

KDDIは、喫緊の課題である省エネルギーに対応するため、2020年に台湾で液冷システムの予備実証を行い、その後、コンテナ型の液浸システムのパイロットテストを実施しました。

また、三菱重工業、NECネッツエスアイと共同で、2022年4月からKDDI小山ネットワークセンターで大規模な実証実験を開始しました。KDDIは、早ければ今年度中に液浸システムの商用化を目指すとしています。

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同様に、NTTデータも2022年春に、液体冷却材を蒸気に変えることで最大97%の冷却エネルギー削減を実現した二相式液浸システムの実証実験を行いました。NTTデータは現在、KDDIの取り組みと同様の単相式システムの試験準備を進めており、今年度中の実用化を計画しています。

また、NTTコミュニケーションズは、1月にインドのNTTグループデータセンター施設に液浸システムを導入し、近く日本でも冷却技術の検証を行う予定です。

ハイパフォーマンスコンピューティングにおける液冷システムの普及にもかかわらず、日本では馴染みや経験の不足から、その採用は限定的でした。しかし、データセンターでは、高性能な機器や発熱量の多い仮想技術の利用が進んでおり、既存の空調システムでは需要の増加に対応しきれなくなっています。

日本のデータセンターでは、再生可能エネルギーを活用し、カーボンフットプリントを最小限に抑えていますが、国内の再生可能エネルギー源が限られていることが課題となっています。

例えば、大手データセンター事業者である丸の内ダイレクトアクセスでは、カーボンニュートラルを実現するために、非化石エネルギー証書や固定価格買取制度(FIT)を利用して、すべてのデータセンターにおいて再生可能エネルギーのみで電力を供給しています。

KDDIとNTTデータは、液浸冷却システムを導入することで、データセンターにおける消費電力の削減や発熱、省エネルギーといった課題への取り組みを表明しています。

サプライチェーン全体での二酸化炭素排出量削減の圧力に直面し、企業は消費電力を削減するために液冷システムに目を向けています。市場調査会社ReportLinkerの報告によると、世界の液浸冷却市場は年平均26%の成長率が予測されています。しかし一方で、冷却配管の設置費用などの建設費が課題となっています。

日本とは別に、香港のような都市では、液冷は業界標準として取り入れるべき必須のオプションとなっています。温暖な島国でスペースが限られているため、空冷だけに頼るのは、特にデータセンターの数と密度が増加し続ける中で、持続可能なソリューションとは言えません。

冷却塔の建設は一定の容量にしか対応できず、エネルギーコストの増大は多くの事業者にとって大きな負担となります。したがって、液体冷却は、香港のデータセンターを効率的かつ長期的に運用するための必然的な選択肢であると言えます。

W.Media ( Lanxin Zhang 記者)より抄訳・転載

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