OCPサミット: LiquidStackが液浸冷却OCPサーバーを出展

ラックユニットあたり3kWの冷却

BitFury社から分離独立し液浸冷却システムを手掛けるLiquidStack社は、先週米国カリフォルニア州サンノゼで開催されたOCPサミットで、標準化されたサーバーを2相式液浸冷却するデモを行いました。

このデモでは、OCPのOpen Accelerator Infrastructure(OAI)仕様に基づいて設計されたWiwynnサーバーを、LiquidStack DataTank 4Uで冷却し、ラック単位で3kWの熱を除去していました(ラック単位で126kWの密度に相当)。LiquidStackによると、OCP OAIサーバーが液浸による冷却に最適化されたのは今回が初めてであるとのことです。このデモは、来週セントルイスで開催される「SuperComputing ’21 Conference」でも行われる予定です。

デモに使用されたサーバーは、Intel Habana Gaudiプロセッサを搭載しており、電子機器に接触して沸騰する低沸点の誘電体液で冷却され、相変化によってより効果的に熱を除去します。また液体については一次冷却回路内で再凝縮されます。

省スペース

LiquidStackは、ハイパフォーマンス・コンピューティング(HPC)システムは、空気冷却するにはエネルギー消費量が多すぎると説明しています。そのため、HPCシステムでは、空冷システム用のボードを使用するのではなく、液冷専用のボードを使用する必要があるとしています。また、液浸冷却を採用した場合、マザーボードの高密度化や電子機器の緊密な統合が可能になるため、60%の省スペースでコンピュートインフラを構築することができます。

OCPおよびSC21で展示されたシステムは、高効率の乾式クーラーとポンプを備えた外部冷却ループ以外は電力を消費しないため、1.02~1.03のパーシャルPUEを達成していました。システムは水も消費しません。LiquidStackによると、このシステムは空冷式の同等製品と比較して密度と効率が桁違いに高く、また一般的な空冷式と比較して約16倍の排熱能力を持っているとしています。

「深層学習用のHabanaマイクロプロセッサー搭載の最新OCPアクセラレータモジュールを採用した、世界初の二相式液浸に最適化したサーバーを開発したWiwynn社とのパートナーシップにより、我々はついにハイパフォーマンスコンピューティングの可能性を解き放つことができた」 LiquidStackのCEO、Joe Capes氏はこのように述べています。

「LiquidStackの熱管理技術は、HPCを空冷のスペース、効率、性能の制約から解放し、あるいはIT機器を更新するたびに係る高額な ダイレクトチップ冷却 のアップグレード・コストからも解放する。このWiwynnとのデモンストレーションは、二相式液浸冷却専用に開発されたハードウェアの最先端を示している」

Wiwynnの社長Dr. Sunlai Chang氏は次のように述べています。「世界初の二相式液浸冷却に最適化されたOCP OAIサーバーの発表にLiquidStackと協力できたことを誇りに思う」

LiquidStackとWiwynnはすでにパートナー関係にあります。Wiwynnは4月に、BitFuryから新たにスピンアウトしたLiquidStackに出資しました。ちなみにWiwynnは、ワシントン州クインシーのMicrosoft Azureデータセンターにて、同社の液冷式サーバーの実証実験も行っています。

LiquidStackは、マイクロデータセンターから大規模なクラウドコンピューティング施設向けに、2U、4U、8U、48Uサイズの二相式液浸冷却装置「DataTank」の製造を行っています。この製品は、実際には1RUあたり最大5.25kWの計算能力を冷却することができ、業界標準のラックタイプとサイズすべてに対応できるとされています。

この記事は海外Data Centre Dynamics発の記事をData Center Cafeが日本向けに抄訳したものです。

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