
ABB、IPECを買収しデータセンター分野における電気監視機能を拡大
2026年第1四半期に完了予定
ABB は、データセンターインフラにおけるレジリエンス(耐障害性)および稼働率(アップタイム)への注力を拡大する取り組みの一環として、英国の電気診断専門企業IPECを買収しました。
本買収は2026年第1四半期に完了する見込みであり、IPECはABBのElectrification Serviceポートフォリオに統合される予定です。なお、買収金額は公表されていません。
IPECは1995年に設立され、本社はマンチェスターにあります。同社は現在、英国、米国、スウェーデン、サウジアラビア、UAE、テキサスにおいて、約70名の従業員を擁しています。これまで同社は、電力会社および産業分野の顧客向けのサプライヤーとして事業を展開してきましたが、現在ではデータセンターが同社にとって最大かつ最も成長の速い市場となっています。
同社の技術は、連続部分放電(continuous partial discharge)監視に重点を置いています。これは、電気絶縁の故障が計画外停止の主要因となるデータセンターにおいて、極めて重要な機能です。部分放電とは、劣化の初期段階を示す微小な電気スパークであり、重大な電気障害の大半を占める要因です。IPEC の監視プラットフォームは、中電圧および高電圧設備を24時間365日監視することが可能であり、同社の主力システムでは最大128か所の接続ポイントを同時に監視できます。
IPECはその後、独自のDeCIFerアルゴリズムにAIおよび高度な分析技術を組み合わせてデータを解析し、障害がサービス影響を伴う事象へと発展する前に、その兆候を検知します。これにより、データセンター事業者は保守作業を計画的に実施でき、突発的なダウンタイムを削減し、重要な電力インフラの耐用年数を延ばすことが可能になると同社は述べています。
ABB Electrification Serviceの事業部長であるStuart Thompsonは、次のように述べています。「重要インフラを支えるあらゆる産業において、ダウンタイムのコストは莫大です。データセンターでは数百万ドル規模の収益損失が発生し、電力会社や病院では安全性や信頼性に対する深刻なリスクが生じます。今回の買収により、当社のお客様は、障害が発生する前にそれを防ぐために必要な診断インテリジェンスを手にすることができます。複雑な監視データを明確で実行可能な洞察へと変換することで、事後対応型の修理から予知保全への転換を可能にし、重要インフラをより効率的で、クリーンかつスマートに運用しながら、事業パフォーマンスに集中できるようにします。」
ABB は、過去1年間にわたりデータセンター分野で複数の重要な投資を行ってきました。今月初めには、データセンターの冷却システム最適化に特化した英国拠点のAI企業OctaiPipeの少数株式を取得しています。
これに先立ち、11月には、テキサス州を拠点とするマイクログリッド開発企業VoltaGridと、AI ワークロードを支える複数の米国データセンター向け電力プロジェクトにおいて、電力システム機器を供給するための一連の契約を締結しています。
この記事は海外Data Centre Dynamics発の記事をData Center Cafeが日本向けに抄訳したものです。
















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