Google Cloud、通信事業者がより自律的になるための計画を提示

Googleと通信事業者、自律型ネットワーク「レベル5」の実現を目指す

Google Cloudは先週、通信事業者のネットワーク運用をより自律化するための計画を示しました。

同社はこの取り組みを、AIが自律的に判断・行動する「agentic AI」への移行において重要な要素だと位置づけています。また、モバイル・ワールド・コングレス(MWC 2026)で、通信事業者がデータ資源をより効率的に管理し、agentic AIを導入できるようにする新しいソリューションを発表しました。

Googleによると、現在の通信事業者は「データ沼(data swamps)」と呼ばれる状態への対応に苦労しています。これは、データが整理されずに大量に蓄積され、十分に活用できない状況を指します。

この課題について、Google Cloudの通信業界担当グローバル責任者であるAngelo Libertucciは、ブログ上で次のように述べています。「現在の通信事業者は、変化する消費者行動に対応し、即時でストレスのない価値ある体験を提供することが求められています。しかし実際には、相互に接続されていない旧来型ソフトウェアが複雑に入り組んだ環境により、こうした取り組みが妨げられることが多いのです。」

こうした課題に対して、Google Cloudは通信事業者がデータをより効果的に活用できるよう、主に3つの技術で支援できると説明しています。

まず、BigQueryの最新機能を活用し、データ準備に伴う多くの作業を自動化します。この機能は最新のGeminiモデルをデータライフサイクルに直接組み込んでおり、大量のネットワークテレメトリーデータの洗浄やタグ付けを自動化できます。その結果、生データを通信事業者向けAI対応情報へ、従来よりも大幅に短い時間で変換できます。

次に、Spanner Graphを通信事業者向けデジタルツインとして提供しています。これはネットワーク全体の関係性を統合した、リアルタイムの時系列マップです。この仕組みによりAIは、ネットワークのどこで問題が発生しているのか、そしてそれがシステム全体にどのような影響を与えるのかを正確に把握できます。

さらに、DigitalRouteとの新たなパートナーシップを通じて、再利用可能なデータパイプラインを提供する計画もあります。Angelo Libertucciはこれについて、「これは高速なフィルターのように機能し、混在しているネットワーク信号を整理して、唯一の信頼できるデータソースへと変換します」と説明しています。

これらのソリューションはすでに通信事業者で利用が始まっており、VodafoneやDeutsche Telekomが導入しています。Libertucciは、次のようにコメントしています。「これら3つの領域が連携して機能すると、エージェントは実際のネットワーク状況に基づいて対応できるようになります。その結果、問題を検知し、解決策を考え、対応することが可能になります。場合によっては、通信事業者の顧客が問題に気付く前に対処できることもあります。」

自律化が進むほど、収益化の機会も広がる

LibertucciはDCDに対し、Googleは通信事業者が収益化の機会を拡大できるよう支援することを目指していると説明しました。しかし、そのためには通信事業者がより高いレベルの自律性に到達する必要があります。TM Forum(通信業界の国際標準団体)による定義では、レベル5は完全自律であり、通信ネットワークの進化における究極の目標とされています。Libertucciによると、通信事業者はまだそのレベルには遠く及ばないとのことです。

また、同氏は「レベル5は完全自律で、人間の介入は一切ありません。私たちが行った調査によると、ほとんどの通信事業者は現在レベル2、あるいは2.5程度にとどまっています」とDCDに語っています。

Google Cloudによると、デジタルツインの活用が通信事業者の自律化を支える重要な役割を果たします。Spanner Graphを用いることで、エージェントはネットワークのリアルタイムの状態を「把握」できるだけでなく、過去のデータも参照して数時間前や数日前のネットワーク状況を確認しながら即時に原因分析を行えると説明しています。

Libertucciはさらに、「より高い自律レベルに到達するには、デジタルツインが不可欠です」と述べています。Spannerは差別化されたプラットフォームであり、グラフデータ、リレーショナルデータ、非構造化データを同時に、世界規模でリアルタイムに、かつ最小の遅延で処理できる唯一のプラットフォームだとしています。

この記事は海外Data Centre Dynamics発の記事をData Center Cafeが日本向けに抄訳したものです。

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