10月のグローバルの海底ケーブル関連ニュースまとめ

10月は海底ケーブルに関連するニュースが目白押しでした。

ヨーロッパ、アジア、中東、米国各地で、新たな海底ケーブルの開発や開通、あるいはケーブル陸揚げ局の建設などがありました。

通信事業者PLDT、Asia Direct Cable(ADC)のフィリピン・リンクの敷設に着手

フィリピンのバタンガス州からシンガポール、香港のチュンホムコック、日本の丸山(千葉県南房総市)、ベトナムのクイニョン、タイのスリラチャ、中国の汕頭までを結ぶ総延長9,400kmのケーブル「Asia Direct Cable(ADC)」の敷設が現在進められており、PLDTがフィリピン・リンクの敷設を開始したと発表しました。尚、2023年末にすべての陸揚げが完了する予定です。

このケーブルにより、PLDTに少なくとも36Tbpsの容量が追加される予定です。ADCコンソーシアムには、China Telecom、China Unicom、National Telecom、Singtel、ソフトバンク、Tata Communications、Viettel Groupが参加しています。

PLDTはまた、アウロラ州Balerに新しいケーブル陸揚げ局の建設も進めています。2024年の完成を目指し、これは同社にとって同地域で4番目の施設となります。

7月にはカマリネス・ノルテ州Daetで日本・アメリカ・フィリピンを結ぶ「JUPITER」海底ケーブルの陸揚げ局が完成し、運用が開始されました。

Far North Fiber(FNF)、日本からの北極海ケーブルの設計・敷設事業者としてAlcatel Submarine Networks(ASN)を選定

新会社Far North Fiber(FNF)は信用枠を確保し、主要投資家との交渉を進めていますが、資金調達パッケージを完成させるための顧客、投資家、政府機関の名前はまだ決まっていません。European Union Commissionがこの10億ドルのプロジェクトへの投資を検討しているとの報道もあります。

米国アラスカ州のFar North Digital社、フィンランドのCinia社、そしてアルテリア・ネットワークス株式会社がこのコンソーシアムに参加しており、速度150Tbps、総延長14,000kmのオープンネットワーク型12対光ファイバー海底ケーブル・システムを敷設する計画を立てています。このケーブルは、アラスカ、カナダ北極圏のほか、ノルウェー、フィンランド、アイルランドに陸揚げされる予定です。ケーブルは2026年末に完成が予定されています。

尚、Far North Digitalは、アラスカ北岸のPrudhoe Bayにある43エーカーの敷地にTier IIIコロケーションデータセンターの建設を計画しており、そこが同ケーブルの陸揚げ地点となる予定です。

パキスタン~ケニア~エジプト~フランスを結ぶPEACEケーブル、チュニジアに陸揚げ地点を追加

PCCW GlobalとOoredooチュニジアは今月、2024年までにPEACEケーブルを北アフリカのチュニジアまで延長する契約に調印しました。Ooredooはチュニジア国内のシステムの総所有権を持つことになります。

海底ケーブル事業者Seaborn、米国~ブラジル間を結ぶ「Seabras-1」ケーブルの延長と新支線の可能性を再検討していると報道

2017年に稼働を開始した総延長10,500kmの「Seabras-1」ケーブルは、ブラジル・サンパウロ州沿岸のPraia Grandeと米国ニュージャージー州を結んでいます。2020年の倒産を受け、同社はブラジル北東部Recifeまでの500km区間のケーブルの検討を中止しましたが、ルート上の他の可能な選択肢を探っている状況です。

Telecom Egyptが今週、新たな海底ケーブル「Red2Med」を開通

この新しいケーブルは、紅海のラス・ガレブ陸揚げ局からスエズ運河を経由して地中海のポート・サイド(エジプト)の陸揚げ局まで伸びています。これは同社にとって15本目の海底ケーブルとなります。

通信会社Unidata S.p.A.、Unitirreno海底ケーブルシステムの建設にAlcatel Submarine Networks(ASN)とElettra Tlc S.p.A.を起用

24ファイバーペアのイタリア国内のUnitirrenoケーブルはティレニア海を約890km横断し、シチリア島のマツァーラ・デル・ヴァッロとジェノバを結び、ローマ近郊の接続点を含む予定です。

インドのグジャラート州に初のケーブル陸揚げ局が設置へ

インドのグジャラート州政府は、同州初の海底ケーブル陸揚げ局を開発するため、Lightstorm社とMoUを締結しました。詳細は不明ですが、同社のSmartNetネットワークには、グジャラート州の海岸沿いの町、ムンドラが立地として含まれています。

今年初め、インド全国に地上波光ファイバーネットワークを展開するLightstorm社は、Cinturion社の欧州~インド間のTrans Europe Asia System(TEAS)をホストする契約を締結しました。

Monet海底ケーブルネットワークがInfineraのICE6にアップグレード

Algar TelecomとAngola Cablesは、容量と到達範囲を拡大するためにInfinera社のICE6 800G光エンジンを導入することを選択しました。GoogleとAntelが出資するこの「Monet」ケーブルは、フロリダのボカラトンとブラジルのフォルタレザおよびプライアグランデを結んでいます。

Globe、Eastern Communications、InfiniVANの共同プロジェクトPhilippine Domestic Submarine Cable Network(PDSCN)が、セブのマクタン島に到達

3社は今月、総延長2,500kmの「PDSCN」ケーブルがセブ市に陸揚げされたことを発表しました。このケーブルはこれまでに、ケソン州ルセナ市、マリンドゥケ州ボアック、カラトラバ、ロンブロン、マスバテ州プラサー、イロイロ市、バコロド市、ロハス市、シアルガオ、スリガオデルノルテ、パロンポン、レイテに上陸しています。

SEA-ME-WE 6、モルディブ上陸へ

アジア開発銀行(ADB)とDhivehi Raajjeyge Gulhun Public Limited Company(Dhiraagu)は、SEA-ME-WE 6海底ケーブルシステムを同島に陸揚げするため、2000万ドルの債務融資枠に合意しました。同システムは、マレーシア、シンガポール、インドネシアからインド、バングラデシュ、中東を経由してイタリア、フランスまで敷設される予定です。

LS Cable & Systems、海底ケーブル事業の発展に向けて、ケーブル敷設船事業者KT Submarineに252億ウォンを出資へ

ケーブルメーカーLS Cable & Systemsはまず12月までにKT Submarine社に16%出資し、同社の第2位株主となる予定です。来年以降、KT Submarineの42%の株式を購入し、筆頭株主となることができます。KT Submarineは、1995年にKTとHanjin Shipping(韓進海運)の合弁会社として設立されました。LS Cable社はこれまで、ケーブル敷設船を借りるか、敷設作業を外注していましたが、今回の買収により、KT Submarineのリソースを活用することができるようになります。

この記事は海外Data Centre Dynamics発の記事をData Center Cafeが日本向けに抄訳したものです。

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