Alphabetがインターネット気球子会社のProjectLoonを停止

Alphabet(アルファベット)はインターネット気球を手掛けるProjectLoonを停止します。

9年間の開発期間を経て、同社は先週金曜日にこの発表を行いました。同社は、プロジェクトが長期的に持続可能な事業を構築するうえで、十分低コストな方法を見いだせなかったと述べています。

「革命的な新技術の開発には本質的なリスクはつきものだ、それでもこのニュースを簡単に伝えることはできない。今日、Loonの終わりを告げるのは残念だ」とLoonの最高経営責任者であるAlastair Westgarth氏は述べています。

今回の発表を受けて、パートナー企業はLoon関連プロジェクトを中止しました。TechCentralの報道によると、Vodacom Groupは、昨年5月にモザンビークでLoonベースのインターネット環境の計画を発表しましたが、現在これは中止されました。

またひとつのGoogleムーンショットが中止へ

Project Loonは、2011年にGoogle X スカンクワークス・ラボ(秘密研究機関)で「ムーンショット(実現が困難とされる目標に挑む壮大な計画の意)」のアイデアとして始まり、2018年に親会社のAlphabetの下で別のビジネスユニットとしてスピンアウトされました。目的は、高度18~25km(11-16マイル)の成層圏で高高度の気球を使用し、空中無線ネットワークを構築し、遠隔地や農村地域にインターネットを配信する事でした。

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このプロジェクトは、2017年のプエルトリコや2019年のペルーで発生した自然災害時にインターネット接続環境を提供したことで、広く世間の注目を集めました。Loonはその後ニュージーランド、スリランカ、ブラジルでパイロット・テストを実施し、1つの気球で312日間の飛行時間を達成しました。 そして同社は2018年にTelkom Kenyaとの最初の商用契約を発表し、2019年にはSoftBankから1億2500万ドルを調達しました。

Alphabetは、ケニアでのLoonのパイロットサービスを終了する予定ですが、ケニアでの接続、インターネット、起業家精神、教育にフォーカスする非営利団体や企業を支援するために1,000万ドルの資金を提供すると述べています。

インターネットを提供する気球は、成層圏から地上のデバイスへの通信ペイロードの接続、車両群を管理するソフトウェア、あるいは気流を航行し気球がひとつの領域に到達し留まることができるようにする技術の開発など、イノベーションの限界を押し広げました。

「これは、私が4年前にLoonに参加したときに思い描いていた結果ではないが、Loonチーム全体の成果を非常に誇りに思っており、私たちの努力が想像できない形で存続することを願っている」とWestgarth氏は述べています。

Loonは、Google/Alphabetにお払い箱にされた数多くのスカンクワークス(秘密研究)プロジェクトの一つとなりました。同社の空飛ぶ風力タービン(凧風力発電)プロジェクト「Makani(マカニ)」は2020年に中止され、Chronicle セキュリティ分析プラットフォームは2019年にGoogle Cloudに組み込まれ、Wi-FiプロジェクトのGoogle Stationは昨年廃止されました。

Loonのために開発された技術に基づく光ベースの高速ブロードバンド事業 「Taara計画」は継続されます。自動運転車プロジェクトWaymo、エネルギー貯蔵プロジェクトMalta、暖房会社Dandelion、Wingドローン配達サービス、ライフサイエンス系スタートアップのVerilyなど、Alphabetのその他数多くのムーンショット事業も同様です。

高高度インターネットプロジェクトは、長年にわたり多くの企業からの注目が増している分野です。Facebookは2018年にAquila固定翼ドローンプロジェクトを中止しましたが、エアバスとBAEの両社は今でもそれぞれZephyrとPHASA-35プログラムを実行しています。Thales(タレス)の自律飛行船Stratobus(ストラトバス)のコンセプトは、少なくとも2014年から開発されており、また、EEは、緊急ゾーンにおける一時的な電波塔として利用する目的の低高度ドローンや気球のコンセプトを持っています。

Loonが運用されていた上空では、その他の多くの企業が数多くの低軌道衛星を通じてインターネットカバレッジを提供しようとしています。Amazon、SpaceXのStarlink、OneWebなどは、農村地域にインターネット環境を提供する目的で、数百あるいは数千の衛星を打ち上げたり、打ち上げを計画している数多くの企業の中の1社です。

Data Center Dynamics

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