南米における中国の宇宙インフラに対する米国の懸念が報告書で示される
米国が、中国の南米における地上局の拡張を懸念していることを示唆する新たな報告書が発表されました。
戦略国際問題研究所(CSIS)が発表したこの報告書には、次のように記されています。「南米における中国の宇宙ネットワークは、北京を世界有数の宇宙開発拠点としての地位を確立し、また中所得国の宇宙開発におけるパートナーとして自らを確立しようとする、より広範な動きの一部である」
このネットワークが、米国や他の国の宇宙探査機をスパイし、監視し、あるいは標的にする可能性があることが懸念されています。
中国は現在、アルゼンチン、ブラジル、ベネズエラに地上局を設置しており、チリではSwedish Space Corporationに対しサービスを提供しています。
例えば米国はノルウェー、ドイツ、オーストラリアに地上局を設置していたりと、各国が他の場所に地上局を設置することは珍しいことではありませんが、中国とホスト国の間の協定は「不透明」であり、軍事利用の可能性が懸念され、また中国国家宇宙局は「軍の影に隠れている」という懸念もあります。
このリスクは、「中国の宇宙エコシステムにおける人民解放軍(PLA)の広範な影響力に起因する」と CSIS の報告書は述べており、「宇宙、サイバー、電子戦争を担当する人民解放軍戦略支援部隊(PLASSF)は、事実上すべての中国の宇宙活動に関与している」と付け加えています。
例えば、アルゼンチンのネウケンにあるEspacio Lejane(エスパシオ・レハネ)地上局は、中国衛星発射・追跡管理総局(CLTC)が所有し、嫦娥5号や天問1号などの月・惑星間ミッションを支援する中国深宇宙ネットワークの一部で、アルゼンチン政府との契約では、50年の契約内は基地での通常の活動を「妨害、中断しない」としています。
2019年、当時ネウケン基地の米南部軍司令官であったクレイグ・フォーラー提督の声明では、そのインフラは 「米国、同盟国、パートナーの宇宙活動を監視し、標的となりうる能力」を有していると述べていました。
米国と中国との間の緊張は今に始まったことではありません。今年初め、米国連邦通信委員会は、China Mobile、Pacific Network Corp、China Unicom、China Telecom、Huawei、ZTE、Hytera、Hikvision、Dahuaといった中国の通信会社数社を「国家安全保障上の脅威」であると宣言しました。
この記事は海外Data Centre Dynamics発の記事をData Center Cafeが日本向けに抄訳したものです。
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