ウクライナ、ICANNにロシアの全ウェブサイトとDNSの接続解除を要請
しかし、ICANNがそのような動きに出るとは考えにくい
ウクライナ当局が、Internet Corporation for Assigned Names and Numbers(ICANN)に対し、ロシアで発行されたドメインの取り消しと、同国のプライマリDNSサーバーの停止を要請しました。
ウクライナのミハイロ・フョードロフ(Mykhailo Fedorov)第一副首相は、ICANNのGöran Marby CEOに向けてロシアへの制裁を要請しました。彼は、プーチンがインターネットを利用して戦争のプロパガンダを推進していると主張しています。
ICANNの代表者がこの電子メールの信ぴょう性を確認したようですが、コメントは避けています。
ICANNは米国カリフォルニア州に本拠を置く非営利団体で、「インターネットの運用の安定性」の保護に責任を負っており、グローバルDNSのルートゾーンを管理しています。同団体は以前、米国政府が管理していましたが、2016年に民営化されました。
「これらの措置はすべて、ユーザーが代替ドメインゾーンで信頼できる情報を探し、プロパガンダや偽情報を防ぐのに役立つ」フョードロフ氏はメールでこのように述べています。
「世界中の指導者、政府、組織は、ロシア連邦に対する制裁措置の導入に賛成している。なぜなら、制裁措置はウクライナや他の国々に対する侵略を終わらせることを目的としているからだ。そのような措置を真剣に検討し、できるだけ早く実行してくださるようお願いします。私たちの国の人々の命を救うために力を貸してください」
ルートゾーンから「.ru」「.рф」「.su」のドメインを削除すると、ロシア内外の人々がロシアのウェブサイトや電子メールなどのサービスにアクセスすることが困難になります。
このような動きによって影響を受けるドメインは、世界のインターネット上に約500万個あると言われています。
ロシア国内のDNSルートサーバーを停止させると、国内のユーザーにも影響が及びます。
このメッセージは、ウクライナ人のOksana Prykhodko氏によってICANNのメーリングリストにも投稿されました。
そこへ、ウィーン大学教授でICANNコミュニティ参加者のErich Schweighofer氏がつぎのように返信しています。「ロシアをインターネットから排除することは、この国の民主的変革のための市民社会を支援することにはならない。ICANNは中立的なプラットフォームであり、この紛争に関する立場は取らず、例えば特定の国からのトラフィックをすべてブロックするなど、国家がそれに応じて行動することを認めている」
ヨーロッパ、中東、中央アジアの一部のリージョナルインターネットレジストリ(Regional Internet Registry:RIR)であるRIPEネットワークコーディネーションセンターは今週、フョードロフ氏によるロシアの接続解除の要求を拒否しました。
RIPE NCC執行委員会のクリスチャン・カウフマン委員長は、「RIPE NCCが中立を保ち、国内政治紛争や国際紛争、戦争に関して立場を取らないことが極めて重要だ」と述べています。
この記事は海外Data Centre Dynamics発の記事をData Center Cafeが日本向けに抄訳したものです。
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