アリババ、四半期損失を発表 クラウド部門は海外の大口顧客を失う

アリババ(Alibaba)は、上場企業として初の四半期損失を計上し、また同社のクラウド部門Alibaba Cloud「中国名:阿里云(Aliyun:アリユン)」は「プロダクト以外の理由」で主要顧客を失ったと発表しました。

会社全体としては、中国の独占禁止法に基づき中国国家市場規制総局が課した182億人民元(27億8,000万ドル)の罰金もあり、76億人民元(11億ドル)の損失を発表しました。

同社のクラウド部門は、2期連続の黒字を発表し、年間の損失を大幅に縮小しました。アリババクラウドの3月期の売上高は、前年同期比37%増の168億人民元(26億ドル)、2021年の総売上高は前年同期比50%増の601億人民元(92億ドル)となりました。

当四半期のクラウド部門の調整後EBITAは3億800万人民元(4,700万ドル)を達成しましたが、2021年3月期には1億6,600万人民元(2,500万ドル)の損失を計上しました。尚、同部門は、2020年3月期にも14億人民元(2億1700万ドル)の損失を計上しています。

同社によると、今回3月期の売上高の伸びが鈍化した理由は、主にインターネット業界の「トップクラスのクラウド顧客からの収入減」によるものであるとしています。この顧客は、「中国以外の地域で大規模な事業を展開」し、以前は同社の海外向けクラウドサービスを利用していたが、「プロダクトに関連しない要件の理由で」関係を終了することにしたとのことです。

顧客名の特定や契約終了に至った理由については明らかにされていませんが、その理由としては、中国のデジタルインフラに対する国家の干渉をめぐる欧米政府のプライバシーおよび国家安全保障上の懸念が考えられます。米国の「クリーンネットワーク」イニシアチブでは、「クリーン・クラウド」の項目で、アリババを潜在的に問題のあるベンダーとして挙げています

中国のCaixin Globalによると、この顧客はTikTokのオーナー企業であるByteDanceの可能性があるとしています。ByteDanceは、トランプ前政権から米国事業部門の売却を迫られていましたが、ジョー・バイデン氏の大統領就任後の2月にその計画については棚上げされたと報じられています。

大口顧客を失い、年間では全社的な損失を出したものの、アリババはこの12カ月をクラウド面では成功と捉えているようです。同社は2月、クラウド部門が設立11年目にして初めて黒字の四半期を迎えたと発表しました。尚、同部門は2020年第4四半期の売上高は161億人民元(24億ドル)、調整後EBITAは2,400万人民元(300万ドル)を達成しましたが、営業損失は20億人民元(3億900万ドル)を計上しました。

アリババの会長兼CEOであるダニエル・チャン氏は、「世界のクラウドリーダーに対するベンチマークを行い、自社のコア製品のコンピテンシーを確立する」ために、 IaaS および PaaS のコア製品への投資を継続する予定であると述べ、また、人工知能とクラウドインフラストラクチャの統合をさらに拡大し、「より多様なインダストリーインテリジェンスソリューションを顧客に提供していく」としています。

Data Center Dynamics

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