ベトナムにおけるデータセンターブームの到来

ベトナムのデータセンター市場は急激な成長を遂げており、投資予測は2024年の6億5,400万米ドルから2030年には1兆7,500億米ドルに増加し、年平均成長率は17.93%となっています。この成長の原動力となっているのは、デジタルトランスフォーメーション、政府の政策、国内外のプレーヤーによる投資の増加などです。

その他にも、東南アジアの主要データセンターハブとしてのベトナムの魅力を高めている有利な要因としては、土地や建設コストが比較的手頃であることが挙げられます。Cushman & Wakefieldの「アジア太平洋データセンター建設コストガイド2025」によると、ベトナムの建設コストはこの地域で最も低い水準にあります。建設費は1MW当たり550万~850万米ドルで、1MW当たりの平均は693万5,000米ドルで、土地代は総工費のわずか5%です。ホーチミン市とハノイで利用可能なインフラのある郊外の土地は、1平方メートル当たり平均209米ドルです。

同レポートはまた、ITインフラ、電力、冷却、一般建設サービスにおける大きな投資機会にも注目しています。インフラの改善、クラウドサービスへの依存度の高まり、コロケーション市場の活況、企業のデジタル化イニシアチブの高まりとAIの急速な導入といった点が、ベトナムの東南アジアにおけるデータセンターハブとしての魅力を高めています。

さらに、データセンター業界では、液冷や再生可能エネルギーなど、エネルギー効率の高いインフラへの注目が高まっています。その一例として、Viettelが2024年4月に30MWの発電容量でスタートした、グリーンAI対応データセンターが挙げられます。 これは、2030年までに同国のエネルギーミックスで再生可能エネルギーを39%達成するというベトナム政府の公約に沿うものです。

ベトナムはまた、2030年までに新たに10本の海底ケーブルを敷設し、接続性をさらに強化する計画です。また、もうひとつの重要な動きとして、ベトナム政府は2024年7月、外国人投資家によるデータセンターの完全所有権を認めました。

最近発表されたSAM DigitalHubの設立は、50ヘクタール(124エーカー)、150MWのデータセンターキャンパス構想で、投資目標は最大15億米ドルとなっており、データセンターの需要が急増していることのさらなる証となっています。2024年にはEpsilon Telecommunications(Epsilon Telecommunications)、Gaw Capital、Infracrowd Capitalなどの新規参入が続いています。

インフラの制限、サイバーセキュリティのリスク、人材不足などの課題があるにもかかわらず、新規参入企業はそれらに立ち向かう準備を十分に整えています。事業者は、ハノイやホーチミン市などの主要都市でクラウドコンピューティング、フィンテックサービス、AI駆動型アプリケーションの急増する需要に対応するため、能力の拡大を競っていると伝えられています。現在、データセンターは約26か所あり、11か所が準備中です。

コスト面での優位性、戦略的な立地、インフラの改善、政府の支援、1億人の人口、デジタル経済の成長により、ベトナムはデータセンターへのさらなる投資を誘致する好位置にあり、地域のデータセンター事情において重要なプレーヤーとなっています。

W.Media ( jan Yong 記者)より抄訳・転載

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