2020年末時点のデータセンター建設パイプラインは米国で600MW超【JLL調査】

2020年末時点のデータセンター建設パイプラインは記録的なレベルに達し、米国だけで合計611.3MWに達し、特にバージニア州北部はその半分の326MWを占めたと報告されています。これは、2019年比で400%以上の大幅な増加です。

一方ヨーロッパでは、フランクフルトとロンドンが牽引し、ヨーロッパ大陸全体で現在建設が進められている合計418.2MWのうち、フランクフルトは117.8MW、ロンドンは117.5MWを占めました。一方、パリとその周辺の建設パイプラインは、昨年末時点で114.9MWでした。

これは、JLLの2020年末データセンター展望レポートによる報告です。レポートではアジア太平洋地域についても言及されています。インドのデータセンター建設パイプラインは合計196MWと報告しています。投資はムンバイ、チェンナイ、そしてハイデラバードの各都市に分散し、後者については州政府の支援を受けています。

レポートでは、何が各主要市場の需要を牽引しているかについても検証されています。バージニア州北部のデータセンター市場は、テクノロジーセクター(54%)、クラウド(37%)が圧倒的に牽引しています。

一方、カリフォルニア州北部の需要は117MWが建設段階、400MWが計画中、合計で468MWであり、クラウドが80%、テクノロジーセクターが20%の割合となっています。当然のことながら、ハイパースケールクラウドプロバイダーはカリフォルニア州北部の市場を牽引し、空室率を押し下げました。

ただ、米国のその他多くの主要都市については、データセンター建設はほとんどあるいは全くなかったとJLLは報告しています。これらには、ボストン、デンバー、フェニックスが含まれ、一方オースティンとサンアントニオは2MW、ニューヨークは4MW、ヒューストンは1.5MWが建設中です。

一方、ヨーロッパでは、建設は主に主要金融センターに集中しており、クラウドが需要をリードしています。

Eemshaven, Holland. Google datacenter

JLLがEMEAで最も確立されたデータセンター市場と呼ぶロンドンでは、需要はカリフォルニア州北部よりもさらに広い割合でクラウドセクターが牽引しており、需要の85%をクラウドが占める一方、テクノロジーセクター、銀行そして金融サービスそれぞれはわずか5%にとどまっています。

「2020年は、ロンドンとスラウのデータセンターで記録的な計画の申請数と、数多くの土地取引がありました。電力と土地の不足は、スラウやウェストロンドンなどの中核市場で地価高騰を引き起こしている」と報告書では警告しています。

フランクフルトのデータセンター需要は、ロンドンと同様クラウド、テクノロジーセクター、金融サービスが牽引しており、フランクフルトはアムステルダムを抜いてヨーロッパ最大のコロケーション市場になりました。しかし、需要が高く、空室率が低いため、価格は上昇傾向にあります。

需要の観点から見たインドの状況はより複雑です。クラウドは依然として市場を支配しているものの、需要の「わずか」43%を占めるにすぎません。しかし、データセンターセクターはその倍以上のMW容量を設定しています。現在の在庫容量は447MWで、これに建設中の196MWと計画中の364MWが加わります。ただし、空室率は67MWと比較的高い状況です。

「[インドでは]パンデミックに伴い、eコマース、 OTT 、ゲーム、在宅勤務環境に対する需要がさらに高まった。ただし、クラウドの採用、データのローカリゼーション、およびキャプティブからコロケーションへの移行は、引き続き長期的な成長要因である。銀行・金融サービス業界が直面した予期しない障害もあり、ITインフラストラクチャのアップグレードが不可欠になった」とJLLは述べています。

Data Center Dynamics

原文はこちら

関連記事一覧

  • コメント ( 0 )

  • トラックバックは利用できません。

  1. この記事へのコメントはありません。