オープンコンピュートによるイノベーションと持続可能性～10周年を迎えたOCP

成功を測る

スミスは今後2年間の重要な業績指標として、開発したテクノロジーの採用を挙げています。彼は採用を3つの観点から捉えています。第1の指標は産業界が研究を採用し共同利用することです。「これは、才能のある人にドルを投資することになるでしょう。これらの分野に関連して彼らが求める成果に沿ったアイデアがあれば、それらのソリューションを加速するための研究に資金を提供することができます。」

「2つ目の指標は人材で、最高の人材を雇用したいと考えています。3つ目は、運用車両にソリューションを導入することです。OCPの問題を解決するためにはどうすればいいのか、そのためにはどうすればいいのかを考えています。FTIを通じて参加している人が次に得られるメリットは、最優秀論文に1万ドルの小額助成金を与えることです」。

このシンポジウムの主なメリットの一つは、将来のテクノロジーを通じてOCPの業界メンバーにアイデアのパイプラインを提供することです。「私がキャリアを通じて学んだ一つの言葉は、我々はどのような問題を解決するのか？」 とスミスは付け加えます。「それを中心に考えると、本当に賢いエンジニアや研究者は、拡張現実を使ったらどうだろうか、というようにソリューションを中心に考えることが多くあります。それは素晴らしいことですが、誰がそれを必要としているのでしょうか？あるいは、どんな機会を狙っているのか？そして、それが私たちの世界をどのように改善するのか？

「このような現実に立ち返ることで、非常に地に足のついた議論ができるようになり、そのような時間を取ることで、より意図的に成果を出そうとするようになります。私は最近、時間とエネルギーの90％を問題に同意することに費やすのは良いことだと言っています。なぜなら、残りの10％でより効率的な作業ができるからです。私たちが経験する最大の文化的適応は、学術的な研究者やエンジニアは一般的には自分の領域における王様であるということです。」

市場へのルート

特に大学で開発された新技術の場合、技術を商業化することの難しさや、研究とイノベーションの間の死の谷と呼ばれる問題について、多くのことが語られてきました。人生の現実の1つは、物事を強制することはできないということです。

スミスによれば、これは「ゴードン・ムーアの法則」によく表れているといいます。「私たちは物理学の限界に達しているのです。インターネットコンテンツを扱う世界中の企業を例にとると、年々増加し続けるプラットフォームの全履歴をカタログ化しているだけでなく、これらのプラットフォームにアクセスするすべてのデバイスが、より多くのカメラ、より多くのピクセル、より多くの帯域幅を要求しています。

「システムに求められるものは大きくなっているのに、サプライヤーベースの利益は数年ごとに2倍になっていたのが、3年後には10％程度になっています。これは、この業界で約60年間頼りにしてきた進歩と成長に対する非常ブレーキであり、今ではそれが効かなくなっています。私たちの業界ではこの痛みを理解するのに時間を要しています。

これは歴史上でもユニークな課題の1つです。なぜなら世界は事実上オンラインで運営されており、これらの問題を解決する能力に依存しているからです。そのためここでは変革が必要であり、そうでなければ業界として顧客ベースとの契約や合意に根本的に失敗することになるからです。これらのプラットフォームやサービスの使い方を進化させ続けることができれば、ビジネスやプライベートを探求し、コンテンツをどんどん追加していくことができます。私たちは、お客様を保護し、お客様がいじめや嫌がらせを受けたり、間違った情報に振り回されないように努力するつもりです。

「このような需要の増加に対応するための能力に厳しい限界が訪れたとき、この業界全体のビジネスモデルに厳しい選択を迫られることになるでしょう。これが私たちが今直面している最大の課題であり、影響力です。私は、この時代と、これらの課題に立ち向かった人々について、歴史書が書かれるようになる確信しています。

「私は、オンラインコンテンツを持つ世界中のあらゆる組織を抽象化するつもりです。そして、その収益を守るためには、ユーザーのデータを保護し、そのプラットフォーム上で動作するユーザーの完全性を守るという、必要不可欠なサービスを提供する必要があるのです。

「その両方に提供できるサービスが限られてくると、企業は一定の帯域幅、ストレージ、処理能力しか持たないという非常に難しい選択を迫られることになります。1年に120回もの国政選挙が行われるというシナリオを想像してみてください。ソーシャルメディアはLinkedInのような仕事ベースのプラットフォームしか利用していないたとしても、選挙のコンテンツがあなたのプラットフォームに現れてくることになります。政治色の強い時代に、人々は目的を持ってあなたのプラットフォームを訪れているのに、問題が増え、それに対応できる能力が低下しているというのです。

「今後数年間で、非常に難しいビジネス上の決断を迫られることになるでしょう。OCP FTIのチャンスはここにあります。新しいコンピューティング・アーキテクチャや機能の大きなブレークスルーによって、これらの技術的問題を解決する方法を見つけ出さなければなりません。」

サステナビリティの役割

持続可能性はOCPとワイド・コンピューティング・コミュニティが直面している最優先事項の一つであり、今後もその傾向は変わらないでしょう。スミスによると、興味深いのは過去10年間に行ってきたすべての作業が今、業界にチャンスを与えているという点です。「私たちは人々の関心を集め、これらのプロジェクトに足並みをそろえる方法を見つけ出しました。今、私たちはリソースの制限のような、複数世代にわたる巨大な問題を解決する立場に立つことができます。」

「以前は、この団体を使ってどの製品を解決しようかとか、次世代の処理能力を加速させるにはどうしたらいいかなどと考えていましたが、合意と調整、協力するための手段と仕組みを手に入れたことで、このような多世代にわたる大規模な問題にも対応できるようになりました。ある企業が、ある時期までにネットゼロにする、と宣言するのとは全く違います。

「例えば私がA社に居て年間に何百万台ものマザーボードを購入しているとします。このマザーボードを使って哲学を発展させ、マザーボードの寿命を延ばし、我々のエコシステムの中で再利用する方法を見つけようとしています。一方でこのマザーボードを製造している企業は、ビジネスを継続しマザーボードを製造しています。私たちがやっていることは、問題を他の誰かに押し付けているだけです。業界全体が一丸となって、この共同目標に向かって協力するために、これが私たちの哲学になると言っているのです。そうすると、サプライヤーは他に売る相手がいないので、我々に合わせざるを得なくなります。それがOCPの目的です」。

Digital Infra Network ( Mark Venables 記者）より抄訳・転載