スウェーデンのコンソーシアムが国内初の原子力発電データセンター建設を検討

小型モジュール炉(SMR)とデータセンターの併設可能性を評価する方針

スウェーデンの企業連合が提携し、同国初の原子力発電によるデータセンターの開発を検討しています。

先進的原子力開発企業Blykalla、ハイパースケールクラウドデータセンター開発企業Evroc、原子力サービス提供企業Studsvikは、Studsvikが認可を受けたスウェーデンのNyköpingにある原子力施設敷地内におけるデータセンター建設を検討する覚書(MoU)に署名しました。

BlykallaのCEOであるJacob Stedmanは、次のように述べました。「この連携は、スウェーデンがデジタルインフラのリーダーとなる機会です。AI革命に必要な安定的で化石燃料に依存しないエネルギーを、小型モジュール炉(SMR)が提供できることを実証できます。StudsvikのサイトとEvrocの野心は、画期的なプロジェクトに最適な条件を提供します。」

本覚書は、Studsvikサイトにおけるデータセンターと小型モジュール炉(SMR)の併設の商業的・技術的実現可能性の評価、自治体・土地所有者との協議、将来の商業的電力購入契約構造の定義を目的としています。

覚書の署名後、パートナーはサイトとビジネスモデルを評価するための共同運営委員会を設立し、今年後半に正式なパートナーシップ交渉に入ることを目指します。

Evrocの創業者兼CEOであるMattias Åströmは、「AI需要の急拡大は、大規模ハイパースケールAIインフラの迅速な展開が急務であることを示しています。BlykallaおよびStudsvikとの協業を通じ、スウェーデンが気候中立型デジタルインフラ構築を主導するモデルを模索しています」と述べました。

Blykallaは現在、SEALER(Swedish Advanced Lead Reactor)と呼ばれるSMRユニットを開発中です。SEALERは、鉛冷却の第4世代小型モジュール炉で、出力55MW、燃料滞留時間25年を想定しています。同社によれば、2030年代初頭にSMRの量産開始を見込んでいます。

Studsvikによれば、同社のNyköpingサイトは原子力開発に最適であり、原子力活動に必要な専門インフラを備えているとのことです。2005年まで同サイトには、研究用原子炉が設置されていました。近年、Studsvikは、同サイトをSMRやその他の新型原子炉に対応させる意向を示し、今回の覚書締結に至りました。SMRの導入が実現した場合、Studsvikの役割は、SMRのための土地を提供することになるとされています。

スウェーデン・ストックホルムに本社を置くEvrocは、コンピューティングストレージネットワークサービスを提供する主権クラウドプロバイダーです。ストックホルム本社に加え、フランスのソフィア・アンティポリスと英国ロンドンに「開発拠点」を構えています。2030年までに、10か所のハイパースケールデータセンター運営を目標としています。

SMRとデータセンター事業者との契約の大半は、米国市場で締結されてきましたが、欧州市場でもこの技術が注目を集め始めています。3月には欧州のデータセンター企業Data4が、欧州における将来のデータセンター向け電力供給として、Westinghouse Electric CompanyのAP300 SMR導入を検討する覚書に署名しました。

これに続き、グローバルコロケーション事業者Equinix は、欧州市場で2件の契約を締結しました。1件目は、オランダ電力供給会社ULC-Energyとの間でオランダ国内データセンター向け最大250MWeの電力購入契約(PPA)を締結しました。2件目は、フランス原子力企業Stellariaとの間で、欧州全域のデータセンター向け500MWの電力供給契約を締結しました。

この記事は海外Data Centre Dynamics発の記事をData Center Cafeが日本向けに抄訳したものです。

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