Googleが中国でのクラウド計画を断念
緊張の高まりとCovid-19が理由と考えられる
Googleは中国やその他の政治的にセンシティブな国々に向けて、特別なクラウドリージョンを開設しようとする計画を断念したと伝えられています。
ブルームバーグにより詳細に報告されたこの動きは、地政学上の緊張の懸念とCovid-19パンデミックによるものとされています。
Googleは地政学上あるいは新型コロナの懸念による「Isolated Region:孤立リージョン」プロジェクトの放棄については否定し、「我々が積極的に追求していた他のアプローチがより良い結果をもたらしたから。」と述べていますが、他のアプローチが何であるかは明らかにしていません。
広報担当者はさらに次のように述べています。「我々はデータのガバナンス、運用方法、およびソフトウェアの存続可能性の要件に対処するための包括的なアプローチを行ってきた。Isolated Regionは、これらの要件に対処するために検討した方法の1つにすぎない。顧客との打ち合わせやヨーロッパやその他の国の政府関係者の意見から学んだことは、我々が積極的に追求していた他のアプローチがより良い結果をもたらしたということだ。Googleは中国国内ではクラウドサービスを提供しません。」
しかし、Googleの公式コメントは、計画中の中国の検索エンジンであるProject Dragonflyについて、The InterceptのRyan Gallagherに誤解を招く発言をした後のことです。現在はブルームバーグに在籍するGallagher氏は、Googleの中国でのクラウドの野望に関する彼の報告は、この問題に詳しい2人の従業員へのインタビューに基づいていると述べています。
2018年の別のレポートによると、Googleは同国内のクラウドリージョンでTencentかInspurのいずれかとの提携を検討していたようです。中国の法律では、実際にデータセンターを運営する地元のパートナー企業が必要とされます。しかしInspurはその後、米国国防総省がまとめた人民解放軍との関係が疑われる中国企業リストに追加されました。
どちらがIsolated Regionの提携パートナー企業として検討されたかは明らかではありません。AWSは Beijing Sinnet Technologyと契約を結び、MicrosoftとIBMは21Vianet Groupと契約しました。Appleは国有のGuizhou-Cloud Big Data Industry(GCBD)を使っており、以前はChina Telecomと契約していました。
どちらのパートナー企業を選択した場合でも、GoogleはIsolated Regionがその名前が示すよう、広大なGoogle Cloudネットワークから隔離され、動作するよう計画していました。
しかし、2019年1月以降、米中の緊張が高まるにつれ、同社は中国での計画を一時停止し、代わりにEMEA地域でこのプロジェクトの顧客を探すことに目を向けました。新CEOのThomas Kurian氏が、その頃に他の中国でのプロジェクトを終了させたと考えられており、Project Dragonflyはますます政治的な監視を受けるようになりました。
この5月に、Isolated Regionは確実に中止されました。しかし、同社はその後、Anthosを含む可能性のある中国での小規模なクラウドサービスを検討してきました。
同社はまた、中国本土と同じレベルの検閲と管理の問題に直面している香港でもデータセンターを運営しています。ただし、現時点では、Googleは香港の合弁事業で動く必要はありません。
あらゆる国を島に
Isolated Regionは、データの主権法で100ヵ国を超える国家のニーズを満たすために、城壁に囲まれたデータセンター「シャード」の開発を目的とした「Sharded Google」として知られるプロジェクトの一部であったと考えられています。
同様の、より極端な、孤立化プロジェクトも2018年に提案されていました(ワークロード用分類) 。同社は、高セキュリティの政府ネットワーク向けのエアギャップ施設の構築を検討していましたが、それが軍事契約につながると信じる従業員や、提供は難しいとする従業員らからの内部反対に直面しました。
同社は最終的に、倫理上の理由と、技術的な理由で、100億ドル規模の国防総省のJEDI軍事クラウド入札から辞退しました。当契約の勝者Microsoftと、それに対する提訴を行なっているAWSの両社が機密の政府系データセンターを提供しています。
Data Center Dynamics
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