OVHcloud、2022年まで悲惨な火災の原因は明らかにしないと発表
OVHcloudは、3月に同社のデータセンターの1つを全焼させた悲惨な火災事故について顧客に謝罪を行いましたが、火災の原因については2022年まで明らかにしないと発表しました。
OVHcloudのCEOであるMichel Paulin氏は、事件発生から50日後の昨日、公開されたビデオ映像の中で顧客に対し謝罪会見を行いました。そして、OVHcloudの復旧チームの努力を称えました。また、同じビデオの中で、OVHcloudのCTO兼創業者のOctave Klaba氏は、 レジリエンス 力を持つデータセンターインフラの導入を約束し、大手クラウドサービスのAWS、Azure、Googleですでに採用されている アベイラビリティゾーン に似た用語に言及しました。
しかし、 レジリエンス力 を持つインフラに関する詳細については、来週予定されているプレスリリースまで保留とされ、火災の原因についても言及されませんでした。また、火災の原因については、2022年までには明らかにされないと述べています。
Under a cloud(暗雲が立ち込める)
昨日公開されたOVHcloudのビデオ映像の公開後、DCDは説明を求めましたが、OVHcloudのスポークスマンは次のように説明しました。「火災の根本的な原因に関して、正式な情報が開示されるのは来年になるだろうと予想している」これは 「フランス当局や保険会社などが関与している 」ためであると説明しました。
障害報告には時間がかかるものですが、10ヶ月というのは長いです。2017年11月にシンガポール証券取引所(SGX)で3時間の障害が発生した際には、シンガポール政府が問い合わせに関与していましたが、SGXへの報告は4カ月(翌年3月)で行われ、6月に発表されています。
情報開示が来年まで遅れることで、今年後半にIPOを予定しているOVHcloudの計画に深刻な影響を与える可能性があります。
「ストラスブールで起こったことについては非常に申し訳なく思っている」Paulin氏はビデオの中で、「チームの皆さんにも感謝している。彼らは昼夜働き、我々のすべてのサービスを可能な限り早く復旧させてくれた」といった同僚を称えるコメントの前にこのように述べていました。
Paulin氏は、火災の影響を受けた12万件の顧客向けサービスのうち、11万8千件については復旧させたとし、復旧作業の詳細について説明をしました。「サービスを復旧させるために16,000台のサーバを用意し、現場では最大で200人のスタッフが対応した。今もまだ100人が対応を行っている」
Paulin氏は、「お客様一人一人に答えていきたい」と述べ、商業関連、技術関連、請求関連の問題に対応するサポートチームを強化したほか、ソーシャルメディアでのコミュニケーションに対応する専門チームを設置したと説明しています。
アベイラビリティゾーン?
OVHcloudの創業者であり、現在も彼の家族が事業の80%を所有するOctave Klaba氏は、短いビデオの中の彼のパートで、顧客に無料のバックアップとレジリエンス力を持つインフラを提供する「今後5年間の戦略的計画」を約束しました。更にOVHcloudが来週、インフラの詳細に関する発表を行うことについても約束しました。
「もちろん、OVHはすべてのサービスに対して、社内の必要に応じて内部バックアップをとっている。そして、内部バックアップを行う方法をアップグレードすることにした」とKlaba氏は説明しています。
バックアップについては、同じデータセンター内にあるものもあれば、遠隔データセンター内にあるものもありました。将来的には、「すべてのデータセンターの外部に、4つのデータセンターで構成されるリージョンを作る予定だ。ここにすべての内部バックアップを置くことになる。つまり、すべてのデータセンターから完全に離れた別のエリアになる」とKlaba氏は説明しました。
顧客は、このバックアップから無料でサーバを復元することができるようになると彼は約束しました。「我々は、バックアップの専門家として見られるようになりたい 」
OVHcloudは 「ハイパーレジリエント」なサービスを提供するために、今後データセンターを強化し、新しいデータセンターについては新たな 「規則 」に従い構築を行っていくとKlaba氏は述べています。
また、ソフトウェアを使って、3つのデータセンターが 「連携 」しあう 「リージョン 」を構築することも約束しました。OVHcloudのリージョンについての詳細は来週発表が予定されていますが、そのアプローチは、以前から リージョン や アベイラビリティゾーン を展開しているAWS、Azure、Googleの確立されたプラクティスに非常に似ています。
Klaba氏は次のように述べています。「レジリエンス力はソフトウェアに基づく形となる。そして、お客様に提供する最初のリージョンは、パリになる予定だ。その後、他のヨーロッパ諸国、米国、アジアでもリージョンを拡大していく予定だ」
高まる批判の声
OVHcloudがサービスの復旧に向けて努力を続ける中、フランスの技術コミュニティ内では批判が高まっています。VO Newsに掲載されたClever Technologies社の記事では、OVHcloudは以下のような一連の「重大な誤ち」を犯していたとし、非難しています。
- SBG4は独立しておらず、SBG2と同じ回路から電力を供給していた
- SBG2は独立したネットワークルームを持っていなかった
- バックアップは同じデータセンター内で行われていた
- 5階建てのSBG2データセンターの床は木造であった
- OVHcloudには自動消火装置がなかったことが各所で報告されている
- 木材やプラスチックが使われていることや、完全自動消火システムがないことは、4月のZDNet.frの記事でも紹介されている
VO Newsの記事では、「責任者は、これまでに蓄積されてきた多くの過ちの結論を示さなければならない」としています。「最低限のセキュリティを確保するための責任ある対策を取らなかったことは、彼らの責任である戦略的ミスであり、すべてを失った一部の顧客は彼らに大きな代償を払わせることになるだろう」
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