TSMCが中国企業向けチップ生産を停止

台湾のチップメーカーTSMCは、11月11日より、中国の半導体設計会社向けのチップ生産を停止しました。

FTの報道によると、同社は、中国の顧客向けに7nm以下の先端プロセスノードを使用したAIチップの製造を停止するとのことです。

今回の決定は、ある顧客がHuaweiの「Ascend 910B」に類似したチップをTSMCに発注したとの通告を受け、米国政府が調査を開始したことが明らかになった後に下されました。

TSMCは以前、Huawei向けにこのチップの前身を製造していましたが、2020年に米国の制裁が発動されて以来、同社と取引を行っていません。TSMCが故意または悪意を持って米国の制裁に違反したという事実はないと言われています。

FTはさらに、この件に詳しい関係者の話を引用し、TSMCの決断は、内部統制を改善する必要性もあったが、バイデン大統領が退任前に制定する可能性のある追加輸出規制を先取りするためでもあったと報じました。

また、同社はトランプ次期政権の標的となることを警戒しており、特にトランプ大統領が台湾のチップ業界を中傷する発言をしたことを警戒しているとも報じています。

2024年の選挙前に行われたJoe Roganとのインタビューで、トランプは次のように語りました。「台湾は我々のチップビジネスを盗んだんだ。彼らは私たちに保護を求めているが、彼らは私たちに保護費を払わないんだ。マフィアが金を払わせるんだろう?しかし、我々が保護するこれらの国々は、我々に金を払わないNATO諸国から数千億ドルを得ている。」

同氏は、7月にも同様の発言をしており、「支払いは保護費のようなものだ」と述べています。

TSMCの2nmチップ、アリゾナでの前倒し生産は見送り

また今週、台湾の技術保護規則により、TSMCが海外で2nmチップを生産することは現在禁止されていることが確認されました。このことは、同社がアリゾナ工場で2nmチップの生産を以前発表した時期よりも早く開始することはできないことを意味します。

Taipei Timesが報じたコメントの中で、J.W. Kuo経済部長は 「台湾には自国の技術を保護するための関連規制があるため、TSMCは現在海外で2nmチップを生産することはできません」と語っています。

この法律では、台湾のチップメーカーは、国内の工場で生産されているチップよりも少なくとも1世代前のチップしか海外で生産できないと定められています。つまり、TSMCは将来的に海外で2nmチップを生産できるようになりますが、次世代チップA-16が台湾で量産されるまではできず、海外での生産は2026年後半になると見込まれています。

同社のアリゾナ工場での2nmチップの生産は、現在のところ2028年に予定されています。

この記事は海外Data Centre Dynamics発の記事をData Center Cafeが日本向けに抄訳したものです。

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