エクイニクスが持続可能性の高い、SG6データセンターを発表

エクイニクス(Equinix)は19日、シンガポールに2億6,000万米ドルを投じて建設する6番目のデータセンターを発表しました。この新しい施設は2027年第1四半期にオープンする予定で、完成時には20MWの電力を供給する予定です。同社によると、SG6は再生可能エネルギーで賄われ、AIを含む計算負荷の高いワークロードをサポートする液体冷却機能を備えているとのことです。

9階建てのSG6は、Jalan Tukangに位置し、以前はシンガポール・データセンター・パークとして知られていたTanjong KlingにあるSG5から、Ayer Rajah Expressway (AYE) を渡ったところにあります。高速道路をさらに下った近隣のブラウンフィールドSG2データセンターと並び、エクイニクスは3つのデータセンターを集めて近接させることになります。

持続可能な設計

SG6は、持続可能なデータセンターの開発を促進するために設立された、試験的データセンター(DC-CFA)の一環として受注されました。このDC-CFAは、2019年から静かに始まったシンガポールの3年間のモラトリアムの終わりを告げるものでした。これは、効率性、脱炭素化、持続可能性の革新にまつわる基準を業界が新たに理解しようとするなかで、大きな関心をもって見守られました。2023年7月、エクイニクスを含む4つの受注者が発表されました。

この持続可能なデータセンターの設備について、エクイニクス・シンガポールのマネージング・ディレクターであるYee May Leongは、SG6がより低炭素のコンクリートや材料で建設されることを18日の報告会で明らかにしました。また、エネルギー効率の高い水冷式チラーと冷却塔を使用し、雨水利用を取り入れるとのことです。

SG6はまた、緑のファサード、屋上庭園、自然換気の廊下も特徴としています。特筆すべきは、ピーク時800kWのソーラーパネルを水平型と垂直型の両方に設置することです。新興技術である垂直型ソーラーパネルを採用するデータセンターは、シンガポールで2番目となります。

Yee May Leongは、「可能な限り、限界を広げました。単なるコンクリートブロック(サーバー用)ではなく、外観もサステイナブルに見える建物にすることを意識しました」と説明しました。

IBXオペレーションズ・シンガポールのシニア・ディレクター、Gavin O’Reillyは、 日々の業務を円滑に進めるために綿密な計画があることを強調しました。 例えば、熱帯の雷雨の際、自然換気された廊下に雨水が浸入しないようにするなどのことです。同氏によると、この成果が実現できた理由は、設計チームと建設チームが緊密に協力し、データセンターが完成時、想定されたエネルギー効率を確実に実現できるようにしたためだとしています。

さらに同氏は、SG6が採用するエネルギー効率の高い冷凍機について詳しく説明しました。「世界中のデータセンターの大半は、ターボ冷凍機を使用しています。SG6では、磁気軸受式チラーを採用するため、従来のものより10~20%効率が向上します。」

AI対応データセンター

Gavin O’Reillyによると、SG6は、高密度のワークロードをサポートするために液冷を提供するように設計されているとのことです。エネルギー効率を高めるため、液冷にはチラー給水の代わりにコンデンサー水を使用します。床荷重は、より高密度で重いラックを念頭に置いて設計されており、この施設は最大100kWのラックをサポートします。これにより、Nvidiaの最新GPUであるB200ファミリーをサポートすることができるとのことです。

同氏はさらに次のように述べました。「私は今が、これまで以上に重要だと思います。AIトレーニングにまつわる新たな機会を獲得するためには何が必要かを素早く理解し、それを確実に捉える必要があります。そして、その実験を理解し、PoCを確立し、シンガポールにおけるAIトレーニングから推論へのスケーリングが何を意味するのかを本当に理解する必要があります。」

「ビル内のすべてのフロアは、大規模なAIフットプリントに伴う高負荷に耐えることができます。データセンター施設内では、当社のCool Arrayテクノロジーを使用して、チップへの直接冷却で管理できない熱負荷の30%に対処する予定です。データセンター全体が液冷対応となり、直接チップ冷却であれ、従来の空冷であれ、さまざまなIT負荷に対応できるようになります。」

同氏は、SG6ではダイレクト・ツー・チップの液冷のみが提供されることを明言しましたが、液冷を使用するための最小ラック数に関する要件はありません。SG6ではUPSにリチウムイオンバッテリーを使用し、最新のSCDF安全基準に従ってバッテリールームを1階に設置する予定です。

新しいベンチマークの設定

Gavin O’Reillyによると、SG6のバックアップ発電機はバイオディーゼル燃料を使用することが可能ですが、エクイニクスは持続可能な供給を確保するため、現在サプライヤーを評価中のようです。エクイニクスはシンガポールでSembcorp Industriesとの再生可能エネルギー電力購入契約(PPA)を採用するなど、持続可能性に向けた重要なステップを踏んでいます。

その他の計画も進行中です。プレスリリースの中で、エクイニクスはシンガポール国立大学(NUS)の設計工学部と協力し、データセンター用の様々な種類の代替電源を評価したと述べています。W.Mediaによると、近日中に別途発表される予定だとのことです。

さらに、エクイニクスはIMDAおよびDell Technologiesと協力し、ハードウェアとソフトウェアのインターフェースの統合と利用を最適化するためのガイダンスと推奨事項を提供しました。

Yee May Leongは、次のように述べました。「SG6は、デジタルとAIの変革を推進する当社のアプローチにおいて、新たなベンチマークとなるものです。計算集約型のワークロードが増加し続けるにつれ、容量に対する需要も増加することが予想されますが、エクイニクスはこうした次世代のワークロードをサポートする体制を整えています。

「最新のサステナビリティ・イノベーションを統合した当社の新しいAI対応データセンターは、企業が責任を持って持続可能なデジタルインフラを構築することを可能にします。私たちは常にシンガポールのグリーンプラン2030とスマート・ネーション・ジャーニーを強力に推進しており、政府と業界パートナーからの支援に感謝しています。」

W.Media ( Paul Mah 記者)より抄訳・転載

画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: wmedia.jpg


関連記事一覧

  1. この記事へのコメントはありません。