Google、気候変動対策へ取り組む一方で世界最大のサウジ石油会社と提携

Googleは、サウジ国営石油会社アラムコとの合弁事業で、サウジアラビアにクラウドリージョンの開設を計画しています。

この国営企業は世界最大の石油生産会社で、世界で2番目に大きい確定原油埋蔵量に対する権利を持っています。

CDP(旧:カーボン・ディスクロージャー・プロジェクト)とClimate Accountability Instituteの報告書によると、アラムコは1988年から2015年までの世界における全産業の温室効果ガス排出量の4.5%を排出していました。

奇妙な関係

Googleの親会社Alphabetは、2018年の初めにこの石油大手との交渉を開始し、当初は証券取引所に上場する合弁会社設立を想定していました。

この新規事業では大規模テクノロジーハブでの両社の協業と、いくつかのデータセンターの構築が計画されていました。

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交渉は、サウジのムハンマド・ビン・サルマーン皇太子、Google CEOのサンダー・ピチャイ氏、Google共同創設者セルゲイ・ブリン氏、Googleテクニカルインフラ部門VPウルス・ヘルツル氏、当時のGoogle Cloud事業責任者ダイアン・グリーン氏、Android、Chrome他プラットフォーム事業を率いるSVPヒロシ・ロックハイマー氏など、両社の最高幹部レベルで行われました。

そのわずか数か月後、ワシントンポストのコラムニストで米国在住の ジャマル・カショギ氏がイスタンブールのサウジアラビア領事館で殺害されました。サウジアラビア当局は遅ればせながら殺害が計画的であったことを認めましたが、皇太子の関与は否定しました。しかし複数の諜報機関は殺害は皇太子の命令によるものであると主張しています。

この国家公認の殺人事件をきっかけに、Googleはサウジアラビアから距離を置き始めました。その後、Google CloudのCEOダイアン・グリーン氏は他社と共に「砂漠のダボス会議」として知られるサウジアラビアの 「フューチャー・インベストメント・イニシアチブ」 サミットからの撤退を決定しました。また、Alphabet傘下のSidewalk LabsのCEOダニエル・ドクトロフ氏も、ネオム(Neom)として知られる5000億ドル規模のサウジアラビアの大都市プロジェクトの諮問委員会からの脱退を決定しました。

それでも、両社の交渉は続きました。

「2018年の合意に基づき、我々は2020年12月に契約を締結し、Google Cloudはサウジアラビアにクラウドリージョンを展開・運用を行い、一方アラムコが出資する地元の戦略パートナーは、特にこの王国での事業に注力し、 顧客へのクラウドサービスの提供を行う」とGoogleのGeoExpansionのシニアプロダクトマネージャーを務めるデーブ・スタイバー氏は、このようにブログで述べています。

このブログの中でスタイバー氏は、Googleは業界で最もクリーンなクラウドを運用している、と主張しています。「この持続可能性へのコミットメントは、弊社の利用顧客自身のクラウドコンピューティングのニーズをCO2ネットゼロで実現する」

同社は気候変動への取り組みを繰り返しアピールしてきましたが、一方で化石燃料企業へのサービスを、他のクラウド企業と共に提供しています。

今年初めのグリーンピースの調査では、AWS、Microsoft Azure、Google Cloudは、気候変動の悪化につながるカーボンのより容易な採掘を支援する、独自開発の人工知能・機械学習システムを提供していたと報告していました。

例えば、マイクロソフトとエクソンモービルの契約では、マイクロソフト全体の1年間の二酸化炭素排出量の20%を超える排出量を生み出す可能性があると言います。

この調査結果を受けてGoogleは、石油・ガス業界向けの「上流での抽出を促進させるカスタムAI / MLソリューションの開発」は今後行わないと説明しました。ただし、既存の契約(Chevron、Total、Schlumberger、BPとの契約など)は継続され、また中流および下流の企業へのカスタマイズ・ソリューションの提供は行われます。

Googleは今回のアラムコとの契約が、 石油の採掘を促進するワークロードへの直接関与する事は無いと述べていますが、間接的なホスティングについては明らかにしていません。また、今回のパートナーシップ契約はまた、アラムコへの直接的な経済的利益ももたらします。

もう1つの課題は人権問題です。GoogleのAI基本理念は「広く一般的に認められた国際法の理念や、人権に反する」AIシステムでの業務を禁止しています。サウジアラビアでの人権侵害に関しては十分な裏付けで証明されているにも関わらず、Googleはこのパートナーシップは自社の基本理念に違反しないと主張しているのです。

Data Center Dynamics

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