
ハイパースケーラーが貿易不透明感によりインドでのデータセンター賃貸契約を一時停止
プロジェクトは進行中だが、遅延に直面
米国のハイパースケーラー各社は、貿易の不透明感を受けてインドでのデータセンター賃貸計画を一時停止しています。
CNBCは、匿名の不動産コンサルタントの話として、データセンターの新規契約が2か月以上凍結されており、ハイパースケーラー各社は今後3~6か月以内に計画を「再検討」する予定であると報じました。
NTT Global Data Centersのインド担当マネージングディレクターであるAlok Bajpaiも、「プロジェクトは流動的」と述べ、データセンター契約は「まだ進行中ですが、ハイパースケーラー側は署名を見合わせています」と説明しました。
これらの一時停止は、米国とインドの間の貿易関係の不確実性と一致しています。
8月、米国はインドからの輸入品に25%の関税を課し、後に50%に引き上げました。これは、インドがロシア産原油を購入したためと説明されています。注目すべきは、7月下旬にマイクロソフトがインド企業Nayara Energyのクラウドコンピューティングサービスへのアクセスを遮断したことです。これは、EUがその製油会社に制裁を課したことを受けた対応です。Nayara Energyは、ロシアのRosneftが筆頭株主であり、ロシア産石油の大口購入者です。
さらなる緊張は、先月導入されたH-1Bビザ申請に対する10万ドルの「一回限り」の申請料にも表れています。この措置は、米国での就職を目指すインド人労働者に影響を与えると予想されています。
法律事務所Argus Partnersの技術・データプライバシー部門パートナーであるJitendra Soniは、米国のインド輸出品に対する新たな関税が「グローバルサプライチェーンを不安定化させ、設備や投入コストの予測を困難にしている」と指摘しました。
同氏によれば、データセンター契約において「関税の転嫁条項、法改正条項、段階的な容量提供」が静かに標準化されつつあることに示されています。同様にJitendra Soniは、契約が完全に撤回されたわけではなく、単に一時停止されているだけだと強調しました。
Amazon Web Services(AWS)、マイクロソフト、Googleといった企業はいずれも今年、インドにおけるインフラ拡大に大規模な投資を約束しています。
1月には、AWSがインド・マハラシュトラ州にAWS Asia-Pacific(ムンバイ)リージョン向けクラウドインフラ開発に、83億ドルを投資すると表明しました。マイクロソフトも、同国でのAIクラウドコンピューティング能力拡充に30億ドルを投じると発表しました。
Googleは2025年7月時点でも、60億ドルを投じて1GW規模のデータセンターを建設する計画を立てていたと報じられています。
DCDは、これら3社のハイパースケーラー全てにコメントを求めています。
この記事は海外Data Centre Dynamics発の記事をData Center Cafeが日本向けに抄訳したものです。
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