GRC、代替液浸冷却液の検証を開始

液浸冷却のスペシャリストであるGRCは、ユーザーが液槽に入れる流体を選択できるようにするためのプログラムを開始しました。

GRCは、(データセンターで高密度なIT機器を効率的に冷却する)液浸システムで使用されるさまざまな誘電体流体を検証していく予定です。このプログラムには、GRC社独自の流体である「ElectroSafe」の名称が冠されています。

GRCのCEOであるPeter Poulin氏は次のように述べています。「ElectroSafeパートナープログラムは、データセンターのライフサイクルを通じて、グローバルに利用可能で技術・環境基準に適合する流体を提供することから始まります。当社のパートナー企業とともに、データセンター事業者は、エネルギー効率、冷却能力、信頼性を向上させる液浸冷却ソリューションを選択することができます」

このプログラムにより、事業者は、原材料の互換性、性能、安全性が検証されたさまざまな流体の中から、より多くの選択肢を選ぶことができるようになります。

液浸冷却システムは、これまでデータセンターにおいては小規模な導入にとどまっていましたが、特にエネルギーを大量に消費する暗号マイニング施設では、除去すべき熱が大量に発生するため、より幅広く導入されるようになってきています。

それに伴い、より多くの冷却液が必要となり、冷却タンクへの充填や補充に使用される流体の選択肢も増えてきています。GRCの競合であるSubmerと提携するカストロールや、食品大手のCargillは、植物由来の液浸流体を製造しており、環境負荷が少なく、石鹸と水で洗浄できるので取り扱いが容易であるとされており、新たな競合として注目されています。

GRCは、この検証プログラムにより、ユーザーに様々な選択肢を提供するとともに、サプライチェーン上の問題を解決し、価格や入手のしやすさなどの条件を満たす流体を選ぶ手助けをするとしています。また、GRCは、Cargill社などとともに、インテルが主導するOpen Compute Project(OCP)の液浸冷却規格の策定に参画しています。

GRCによると、ElectroSafeプログラムの流体はすべて、使用中に液状を保つように設計された単相液であるとのことです。これらの流体は、時間の経過とともに分解されることはなく、交換の必要もなく、被ばくや吸入による健康へのリスクもないとされています。また、生分解性が高く、リサイクルや再利用が可能です。

同社は、液浸冷却システムを ElectroSafe 認証済みクーラントに最適化させるとし、また、流体製造メーカーと協力し、「事実上あらゆるコンピュータ環境のニーズを満たすElectroSafeクーラント」と、未来の流体を開発していくことを約束しています。

この記事は海外Data Centre Dynamics発の記事をData Center Cafeが日本向けに抄訳したものです。

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