Nvidiaが史上最も省エネのスパコンを計画、地球のデジタルツイン構築に使用

GPU大手のNvidiaは、世界のシミュレートを実現する、エネルギー効率に優れたスーパーコンピューターの構築を約束すると発表しました。

Nvidiaは、このシステムのアーキテクチャや規模、設置場所などについて明らかにしておらず、また稼動開始時期も明らかにしていません。ジェンセン・フアンCEOはマスコミへの説明会の中で、「これは信じられないほど強力なものになるだろう」と話し、更に気候変動に特化した最も強力なAIスパコンになるとも付け加えました。

同社は、先週のバーチャルカンファレンス「GTC21」において、スーパーコンピューター「Earth-2」の発表を行いました。フアンは基調講演の中で、「我々は気候変動をシミュレーションし、予測するためのデジタルツインを構築する」と発表しました。

新しいAIフレームワーク「Nvidia Modulus」で定義されたAI物理学を実行し、「Nvidia Omniverse」プラットフォーム上でシミュレーションを行うという。

「これまで私たちが発明してきたすべての技術がEarth-2 を実現するために必要となる。これ以上、重要な使い方は考えられない」

Omniverseは、3Dシミュレーション、デザインコラボレーション、デジタルツインの同社のブランドであり、一部はピクサーの技術をベースにしています。最近、Facebookが社名をMetaに変更し、「メタバース」が投資家向けのバズワードになっていることから、Omniverseは現在、「エンジニア向けのメタバース」と称されています。

フアンは記者団に対し、「新しいスーパーコンピュータはOmniverse向けに設計されている。地球を物理的なものとして想像すると、これは代替世界のエンジンになる」と話しています。

彼はさらに、このシステムは 「これまでに作られてきた中でも最もエネルギー効率の高いスーパーコンピューター」になるだろうとも述べています。現在のタイトルは、ベンチマークにもよりますが、Green500リストのトップに位置する1.8ペタフロップスの日本製スーパーコンピューター「MN-3」か、PUE 1.01のNREL ESIF HPCデータセンターの近くに位置しています。

ちなみにTop500ではNvidia DGX A100システムが2位、自社開発のDGX SuperPODが5位となっています。

同社は、カリフォルニア州でスーパーコンピュータ「Selene」を運営しており、そして最近ではハーロウにあるKao Dataのサイトに「Cambridge-1」施設を開設しています。

この英国のスパコンは、ヘルスケア分野の一部のDGX顧客に提供されますが、これは、従来スパコンを社内でのみ使用してきた同社にとっては初めてのことです。

また、「Earth-2」もまた、不特定多数の研究者やパートナーに提供されます。

これが地球をどのような解像度でシミュレートしていくのか、また地球の気象システムのどの部分を優先するのかについては明らかになっていません。

昨年、当メディアでは、地球のデジタルツインを構築しようとする欧州連合の野心的な取り組みを紹介しましたが、「Destination Earth」が、このような広大で複雑なスケールのものをシミュレートするという困難な課題に直面している事がわかりました。

最初のデジタルツインを発明したマイケル・グリーブス教授はDCDに次のように語っていました。「地球のまとまったデジタルツインを作ることは、実現しないと思う。それはあまりにも遠い話で、私には考えられない。今世紀中に実現するとは思えない」

この記事は海外Data Centre Dynamics発の記事をData Center Cafeが日本向けに抄訳したものです。

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