イラン、パン価格高騰や生活費に関する抗議が高まる中、インターネットを遮断

物価上昇の背景はロシアのウクライナ侵攻

イラン政府は、パンの価格高騰やその他のコスト上昇に対する国民からの抗議が高まる中、全国でのインターネット遮断を実施しました。

この遮断は、個人ユーザをオフラインにする一方で、企業、銀行、政府機関らは接続を維持するという、段階的なものであるようです。

先週の遮断は、クゼスタン州とその都市であるアフヴァズ、アバダン、ハミデヘイ、ソサンジェー、イゼを対象としていました。しかし今週は、抗議が高まるにつれ、政府はインターネット封鎖を全国に拡大しました。

Cloudflareのトラフィックデータでは、現地時間5月9日午後5時30分から、AS39650、AS43343、AS48309、AS51759などの自律システムネットワークが落ちたことを示しています。

イランのエブラヒム・ライシ大統領は今月、国民の貧困層の多くを養っているパンの補助金を削減する計画を発表しました。同大統領は、2ヵ月後には市民に若干数のパン購入補助金デジタルクーポンを配布するが、残りは市場価格でしか購入できなくなると述べました。

この措置はその後、他の食品にも拡大される予定とのことです。

イランは国民が消費する物品の多くに多額の補助金を出しており、抗議活動を起こさずに削減することに苦労してきました。3年前にガソリンを値上げした際には、大規模なデモで数百人が死亡しました。

小麦は年間およそ1500万トン輸入されており、その約3割はロシアとウクライナから輸入されています。今回のロシア・ウクライナ戦争でその供給が途絶え、世界の小麦価格は高騰しています。

世界的な原油価格の高騰と中国によるイラン産原油の購入は、同国の経済維持に欠かせないものとなっていますが、現在も続く制裁や、39.2%のインフレ、通貨安は、イラン国民をさらに苦しめています。

イランの貧困層の多くは、何百万人ものアフガニスタン難民と同様に、もはや肉やその他の食品を購入することができず、自分自身と家族を養うために補助金付きのパンに頼っている状況です。

尚、米国の制裁を解除するための交渉は、3月中旬にウィーンでの協議が停止した後、停滞しています。

この記事は海外Data Centre Dynamics発の記事をData Center Cafeが日本向けに抄訳したものです。

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