AWSデータセンターの爆破を企てた右翼テロリストが10年の刑に

成功しないはずの計画は最初から失敗

セス・アーロン・ペンドリーは、バージニア州にあるアマゾン ウェブ サービス(AWS)のデータセンターを爆破する計画を立てた罪で、連邦刑務所10年の刑期を宣告されました。

28歳のペンドリーは、4月にフォートワースでFBIの潜入捜査官から爆発物を入手しようとして逮捕され6月に有罪を宣告されました。 米国連邦検事代理のプレラック・シャーは次のように述べています。「司法省は国内の暴力的な過激派による脅威を常に警戒しています。この事件が示すように過激派はインターネット上に潜み、攻撃の方法を探しています。私たちは、ペンドリーがデータセンターで働く人々に実害を与える前に、彼の計画を阻止するために命懸けで働いたFBI職員に感謝しており、今日の判決を誇りに思っています。」

ペンドリーは、1月に機密情報源に自身の計画を話していました。2月には「インターネットの約70%を消滅させたい」と話し、その後選んだデータセンターの手書きの地図を見せたり、警察に見つからないように車を変装させる計画を説明していました。検察側は以前ペントリーが「3つのデータセンターを爆破したいと思っていた」「おもちゃと間違えられるように銃を明るい色に塗った」と話したと述べています。

この70%という数字は、インターネットトラフィックの70%が世界最大のデータセンターのホットスポットであるバージニア州北部を通過するという、よくある統計を誤って解釈したもののようです。それは1つのAWSデータセンターを指すものではありません。

その情報源は爆発物の供給者を名乗るFBI捜査官にペンドリーを紹介しています。ペンドリーはその捜査官に「主な目的は、FBIやCIAなどの連邦機関にサービスを提供していると思われるAmazonのサーバーを破壊することだ」と話しました。

Amazonはほとんどの政府機関にサービスを提供していますが、複数の冗長化されたサイトでホストしています。ペンドリーは世界で最も裕福な男性が会長を務めるAmazonのビジネスに影響を与えることで、来るべき専制的なマルクス主義政府を阻止するために、自分のテロ攻撃を期待していました。

自宅を捜索したところ銃身がノコギリで切断されたAR-15レシーバー、おもちゃの銃のようにペイントされたピストル、マスク、カツラ、メモ、テロ計画に関するフラッシュカードなどが見つかりました。

ペンドリー は1月6日に行われた連邦議会議事堂への攻撃に参加し、そこでノコギリで切ったAR-15を持ち込んだと述べていますが、建物の中には入らなかったと主張しています。

検察側は、インターネットを遮断することを目的としていた同被告がインターネットによって過激化したと主張しています。

FBIはペンドリーは健康とフィットネスに関心があり、大学の講義を受けていて、過去に警察と揉め事を起こしたことはないと主張しています。

しかしCovid-19パンデミックが発生で仕事を失い時間を持て余すようになり、証言によれば起きている時間のほとんどをインターネットで過ごすようになったといいます。

彼はFacebookやYouTubeで陰謀論を見て過激になり、アメリカの生活とアレクサンドル・ソルジェニーツィンがソ連の収容所での生活を描いた「収容所群島」との間に類似点があると確信しました。

FBIのジョン・コイル捜査官の証言によると、彼は古い知り合いに「私は最も過激な人間だ」と言い、新しい友人を探し始めたとされています(Dallas News紙)。公開されたFacebookの投稿を見るとペンドリーがウェイトリフティングやモデルをしているシンプルな写真から、JPスピアーズによる「グレート・リセット」に関する陰謀論や、スティーブ・ターリーによるFacebookの右派検閲に関する動画の共有へと変化しています。

議事堂攻撃の後、AWSは右派系ソーシャルメディアのParlerのホスティングを停止しました。これによりParlerの一部のユーザーがAWSのデータセンターを爆破すると脅迫し、Amazonはデータセンターのスタッフにそのような試みに警戒するよう警告しました。これらの脅迫が今回の事件と関連しているかどうかは不明です。

今年初めニューヨーク市警の情報報告書は、陰謀論者や極右の白人至上主義者のグループが、「恐怖を煽り必要なサービスを妨害し、米国内外で経済的損害を与えるために重要なインフラを標的にするケースが増えている 」と警告しました。この報告書では携帯電話基地局に対するいくつかの攻撃と、さらに大きな攻撃の脅威について詳しく述べられています。

2020年のクリスマスにはアンソニー・クイン・ワーナーがAT&Tの施設の横で自爆し、施設に大きな損害を与えました。FBIの調査によるとパラノイアや陰謀論が動機となっていたものの、AT&Tの建物を狙っていたようには見えなかったといいます。

AmazonがDCDに送った声明は次の通りです。「FBIのこの調査への取り組みに感謝したいと思います。当社はスタッフとお客様のデータの安全性とセキュリティを非常に重視しており、潜在的な脅威がないか、さまざまなベクトルを常に検討しています。Amazonは従業員とお客様について、この警戒心を保持し続けます。」

この記事は海外Data Centre Dynamics発の記事をData Center Cafeが日本向けに抄訳したものです。

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