データセンター投資、2030年までに1.6兆ドル規模へ

Omdiaの最新予測では、設備投資額は「最も可能性が高いシナリオ」でこの水準に到達

調査会社Omdiaの予測によると、AIの導入の遅れや、AIバブルの可能性があるにもかかわらず、AIコンピュート能力への需要が引き続き増加しており、データセンター投資は2030年までに約1.6兆ドルに達する可能性があります。

The Registerに掲載されたOmdiaの12月版「Cloud and Data Center Market Snapshot」によると、最も可能性が高い予測シナリオでは、データセンターの設備投資(Capex)は2030年に1.6兆ドルに達します。このシナリオは、同社の「コンセンサス」シナリオです。

Omdiaはこのシナリオについて、「実際の受注パイプラインと需要の両方が強いことを考慮している」と述べています。

さらに「これは、電力供給、製造能力、サプライチェーンの障害など、数多くの制約とバランスを取っている」と付け加えました。

同社は、このシナリオがNVIDIAの2025年から2026年の受注残高に沿っていると説明しています。

Omdiaは、AIバブルへの懸念に言及したものも含め、複数の異なるシナリオを検討した後、コンセンサス案に至りました。

Omdiaがわずか5%の確率と考える「バブルシナリオ」では、不可解なことに、データセンターの設備投資が他のすべてのシナリオよりも速く成長すると予測しており、最も可能性の高いシナリオで2027年に1.1兆ドルと予測されているのに対し、バブルシナリオでは2027年に1.4兆ドルに達するとなっています。

さらに同社は、「バブルシナリオ」において2027年以降にデータセンター設備投資が減少すると予測しています。これはバブル崩壊を表し、2028年には設備投資額が1兆ドルをわずかに上回る程度まで落ち込むと予測しています。崩壊後の最低点となる2028年でも、Omdiaのデータによればデータセンター支出は現在約7,000億ドルとなっている2025年の支出額を上回ると予想しています。その後、予測では2030年までに設備投資が再び勢いを取り戻すとみています。

Omdiaは、このシナリオが「AI利用による生産性向上を迅速に実現できなかったことを反映しており、5年間の加速度的な投資の後、投資家が不安を抱く」状況を反映していると述べています。

さらに次のようにも述べています。「私たちは、2027年を重要な年と考えています。なぜなら、主要なAI開発者がその年の収益コミットメントを行っているからです」

Omdiaは報告書の中で、AIコンピュート能力への需要は強いものの、供給制約が導入努力を妨げていると述べています。コンセンサスに至る過程で、「ユーザーが増え、ユーザーあたりの使用量が増えるだろう」と述べましたが、この主張の根拠は示されませんでした。

最近では、AIコンピュート能力への過剰支出に対する懸念が高まっており、そのようなプロジェクトの収益性に対する重大な疑念が浮上しています。

IBMのCEOであるArvind Krishnaは先週、次のように述べました。「AIを追求する企業が、マルチギガワットのデータセンター容量への投資を回収する方法はありません。もし20〜30GWの発電を1社だけで賄おうとすると、1.5兆ドルの設備投資が必要になります。この分野で世界全体の投資額を見ると、世界中でこの分野へのAGIを追求するための投資の総額を見ると、これらの発表を合わせて100GW規模になるでしょう。これは約8兆ドルもかかることになります。」

さらに同氏は、「私の見解では、それでリターンが得られるはずがありません。8兆ドルの設備投資ということは、利息を支払うだけでも約8000億ドルの利益が必要になるからです。」と付け加えました。

また、業界における過剰容量の可能性についても多くの議論があります。投資のゴールドラッシュと需要の不確実性が組み合わさることで、現在の建設が実用的で収益を生むAIアプリケーションの開発を上回る可能性があります。

こうした懸念に対処するため、Omdiaはコンセンサスシナリオで、データセンターの建設は発表よりもゆっくりしたペースで進んでおり、「過剰建設」の可能性は低いと示唆しましたが、参照された報告書にはこの主張を裏付けるデータは含まれていませんでした。

この記事は海外Data Centre Dynamics発の記事をData Center Cafeが日本向けに抄訳したものです。

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