火災によるデータ消失で51社がOVHcloudに対する集団訴訟に参加

OVHcloudは3月に正式な書簡を受け取る予定

2021年3月にストラスブールにあるOVHcloudのSBG2データセンターが全焼し、データを失ったグローバル企業51社が、「最大190万ユーロ」の損害賠償を請求する集団訴訟に参加しました。

この訴訟はパリの法律事務所Ziegler Associatesによって提起され、3月にOVHcloudに正式な書簡が届くまで、新しい申立人を募集しています。3月10日の火災でOVHのSBG2データセンターが全焼し、同じ敷地内にあるSBG1施設も機能不全に陥り多くのグローバル企業がダウンタイムとデータの喪失に見舞われました。

OVHcloudは火災の原因について、法的な理由から今年後半になるまで公式な情報を提供できないとしていますが、最初の報道ではUPSシステムから火が出たとされ、同社の火災防止システムが不十分だったとの報道もあります。

責任転嫁のための4つの主張

Zieglerは11月に7社で集団訴訟を発表し、12月上旬までに20社が参加しました。現在その数は拡大しており、Zieglerはクライアントが「この火災によって被ったかもしれないすべての損害について、正義と補償を求めている」と述べています。その目的は「ストラスブールにあるOVHのデータセンターの火災でデータを失った企業に補償すること」だといいます。

クライアントの一人は、補償に対抗するOVHcloud側の4つの法的論拠を共有しています。それは以下の通りです。

  • OVHに過失はない
  • 災害は「不可抗力」(OVHcloudがコントロールできない)
  • OVHcloudの契約における有限責任条項
  • OVHcloudの責任は、ホスティングサービスという直接的な損害のみを含み、ビジネスの損失などの間接的な損害は含まれない

Zieglerはこれらの点すべてに対して、OVHcloudが特定の追加セキュリティ対策をとらなかったこと、バックアップを元のデータと同じサイトに置いていたことに落ち度があったとして反論する予定です。「OVHは、火災などのセキュリティ障害に対処するために、必要なすべての手段を講じる義務がある」とZieglerは述べています。「しかしストラスブールのデータセンターには、自動消火装置が設置されていませんでした。バックアップを取る企業もありましたが、バックアップも同じデータセンターで行っており、事実すべてを失ってしまったのです」。

不可抗力の発動条件は満たされていません。フランスの民法1218条では、不可抗力とは予測不可能で抑えることができず、OVHcloudのコントロール外であることを要求しています。Zieglerは予防措置が可能であったため、損害はOVHcloudの管理下にあったと主張しています。

ZieglerはOVHcloudの有限責任の抗弁は、本質的にデータを安全にホストするという、顧客が期待する基本的なサービスを提供する責任がないと主張しているため、無効であるとしています。制限条項が当事者間に大きな不均衡を生じさせた時点で、裁判官はこれらの条項を無効とみなすことができる」と言い、「OVHcloudの制限責任の主張は、データを安全な方法でホストするという自社の目的を無視している」と付け加えています。

最後に同社はOVHcloudの責任を直接損害のみに限定することは法律上不可能であると述べています。裁判官はデータの復元と交換のコスト、ビジネスの損失、さらにはOVHcloudの顧客のブランドイメージへのダメージなど、その他のコストを考慮するべきだと述べています。

Le Journal Du Netの報道によると、Zieglerは書簡を提出する前にさらに秘密裏に主張を追加する意向だそうです。「その目的はOVHの状況がもはや耐えられないものであり、裁判に負けたくないのであれば、友好的な話し合いをしなければならないことを示すことだ」とJocelyn Zieglerが述べたと報道しています。

OVHcloudはZieglerの集団訴訟について、正式な書簡を受け取るまで DCDに対する コメントを控えるとしています。「当社ケースがまだその詳細な要素にアクセスすることができない法的機関や我々の弁護士/法務部門と共有されていないため、コメントをすることはできません」とOVHcloudの広報担当者は述べ、さらに影響を受けたサービスの顧客のためのサポートと返金を提供していることを追加しました。



この記事は海外Data Centre Dynamics発の記事をData Center Cafeが日本向けに抄訳したものです。



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