米国が中国への人工知能用チップ輸出規制を厳格化へ

米国は、人工知能を動かすデータセンターに必要な半導体について、中国への輸出規制を強化する準備を進めていると報じられています。この規制強化の主な理由として、バイデン政権が世界2大経済大国間のAI技術格差の縮小を懸念していることが推測されています。

報道では、米商務省が中国およびその他の懸念国へのAIチップ輸出を認可するためのより厳しい基準を維持し、早くとも来月には実施される見込みであるとしています。中国政府は、 高性能チップを兵器開発や様々なハッキングの試みに使用しており、米国の国家安全保障を脅かす可能性があると主張する見通しです。

これは米国政府が、中国のAI開発者にGPU半導体を供給しているNvidiaとAMDの高性能チップの売上を抑制しようとする最も新しい試みを示したことになります。GPUは生成AIにおいて頭脳のような役割を果たしています。現在、AI向けGPUの世界市場において、Nvidiaは90%以上の圧倒的なシェアを占めています。

昨年10月、中国への半導体輸出を規制する商務省の計画を受け、Nvidiaは幅広く知られるGPU製品「A100」とその改善版「H100」の輸出を停止せざるを得なくなりました。当時Nvidiaは、中国に出荷する「A800」と「H800」モデルのデータ転送速度を落とすことで、輸出禁止を回避するため別のバージョンを導入していました。

今回の商務省による厳格化措置には、低性能GPU仕様の出荷禁止措置が含まれる見通しとなっています。これは、中国のクラウド企業の米国での事業を制限する新たな規制の報道に続いて、バイデン政権による一連の中国技術への締め付けに続く動きです。

これに対して、Nvidiaの最高財務責任者(CFO)であるColette Kressは2日、米国政府による規制に反発し、現在米国半導体メーカーの収益の大部分を占める中国市場を疎外することで、「米国産業の事業機会を永久に喪失することになる」と述べています。

その一方で、2大経済大国間のデジタル技術戦争の副産物としては、中国で儲かるビジネスとなっているGPUの違法な販売が増加していることが挙げられます。中国国内の何千もの仲介業者が、GPUの需要の高まりを利用しており、地元の技術大手であるAlibabaとBaiduが、自社版の生成AIを開発するためにGPUの開発に参入したことが要因となっています。

W.Media (  Jinny Kim 記者 )より抄訳・転載

関連記事一覧

  • コメント ( 0 )

  • トラックバックは利用できません。

  1. この記事へのコメントはありません。