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Digital Realtyの野望【特集】

時にDigitalは、新たな地域ではパートナー企業を活用します。例えば、日本では 三菱商事との合弁会社を設立したり、一方ブラジルでは2018年にBrookfieldとの合弁事業として、Ascentyを18億ドルで買収しています。2019にはシンガポールのMapletreeとの長期のジョイントベンチャー契約を締結し、米国内の パワードシェルデータセンター 施設を10棟売却し、他の3施設を共同所有に移行しました。

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Mapletreeとの契約は、Digitalの資産を合理化し、資産の成熟化を実現し、直近のInterxion買収のような将来を見据えた動きを可能とするリソース集約の明確な取り組みでした。「不動産の観点からは、現在安定している資産を取得して売却し、それをリサイクルすることは良いこと。」とStein氏は説明します。

パワードシェル型の建物は満床で、6%の資本化率を生成しました。「建物は基本的に満床で、資産に付加価値を生み出す機会はほとんど無い。」と彼は言います。「Mapletreeはこの豊かなリターンを高く評価しているが、コアな投資家はより高いリターンを求めている。我々のガイダンスは9〜11パーセントのキャップレート(=収益還元率、期待利回り)です。それが基本的な不動産です。」

リターンを求めるだけでなく、Digitalは、戦略的に接続性が良く注目度の高いサイトを探している、とStein氏は言います。「シカゴの50 East Cermakは、非常に接続性の良いネットワーク密度が高い資産だ。ニューヨークでは、60 Hudson32 Avenue of the Americas でデータセンターをリースしている。これらは非常に古典的建築の美しい建物です。」

このような属性は、Stein氏がDigitalを導く新たな方向性、つまり、リース事業とともに企業顧客と直接取引を行うリテールコロケーションにとって重要なポイントです。実は、同社は2015年以前からリテール事業に手を出していましたが、同年に19億ドルでTelxを買収したことで、強力な企業顧客基盤がもたらされました。

これにより、Digitalのリテールコロケーション施設の保有数は2倍になり、その後2016年にEquinixから8億7,400万ドルで取得した8施設を含みその他の施設の取得が続いています。

2019年、Digitalは過去最大のリテール展開を行いました。10月にInterxionを84億ドルで買収(規制当局の承認待ち)し、11月にニューヨークで開催されたMarketplaceLIVEイベントで、企業のクラウドおよびデータセンター資産をサポートする戦略のPlatformDIGITALを発表しました。

TelxやInterxionの買収には、Digitalが所有しているが、同社のパートナーにリースされている建物が含まれており、現在ではマルチテナント型データセンター(MTDC)が同社のポートフォリオの主要な部分を占めています。

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Digitalは間違いなくEquinixとの競争を目指しています。Interxionの合併により、エンタープライズコロケーション床面積の同等性に一歩近づき、PlatformDIGITALは、施設内で相互接続されたエコシステムを促進しようとするEquinixの攻勢を食い止めるための試みです。

これに応えるかのように、EquinixはDigitalの聖域に進出し、ヨーロッパ地域でホールセールコロケーション施設を展開するための合弁会社を設立しました。

「我々は反対側からビジネスにアプローチしたと言える。」と Stein氏は言います。「彼らはコロケーションおよび相互接続プロバイダーとしてスタートしたが、最近、大規模スペースに参入してきています。彼らはいまだにコロケーション事業者であり、利益率は高く、ポートフォリオの大半はリースされています。」

対照的に、Digitalは未だにコロケーション分野で成長を広げています。「当社のコロケーション収益はまだおよそ3割ほどであり、Equinixの規模にはまだほど遠いが、この分野の事業を拡大させています。」

これが、そこにアプローチする上での好ましい方法だ、と彼は言います。「我々はケージに至るまでの建物全てを保有している。スタックを下げるよりも上げる方が簡単です。もしあなたのコアビジネスがフロア貸しだった場合、建物を所有するのは難しいでしょう?」

多様なポートフォリオを備えるこの段階に入ると、DigitalはPlatform DIGITAL戦略の中で、クラウドサービス向けやより大規模スペースの提供等の選択肢を持つことで、変化する企業ニーズに対し、より適合できるようになるだろうとStein氏は計算しています。「顧客は、コロケーションのみの環境よりも成長してきています。 我々はより大きなフットプリントに拡張していくための素晴らしい方法を顧客に提供します。今は線がぼやけているようですね。我々は顧客がハイブリッド・マルチクラウドアーキテクチャを簡単に実現できるように、複雑さを取り除いていきます。」

彼はまた、例えばエコシステム内の相互接続料金など、Digitalが未だ多くの分野でEquinixを下回っていることも良く認識しています。

「我々は、低マージンと効率的なサプライチェーンを武器に取り組んでいます。我々のアドバンテージの一つは、規模の原理から得られるサプライチェーンのずっと下に至るまでの絶対的なベストプライスなのです。」

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