CNDCPが2030年までのネットゼロに署名した欧州の事業者リスト発表

欧州データセンター容量の75％近くが再生可能エネルギーで賄われる

欧州のClimate Neutral Data Center Pact（気候中立協定： CNDCP)」は、設立から2年を経過し、2030年までに（同協定の定義に基づく）気候変動に左右されないデータを提供することを約束した事業者約80社を含んだ、初の認定リストを公表しました。

CNDCPは、サービスプロバイダーやデータセンター事業者が環境目標にコミットするための自主的な取り組みとなっています。2021年に業界団体のCISPEとEUDCAによって設立しその成果が認められ、欧州連合に報告が行われる「自主規制イニシアチブ」（SRI）となっています。署名者80社は、2030年までに同協定の目標を遵守したことを証明するデータを提供することを約束しました。

認証を受けるには、事業者は以下5つの目標を満たしていることを示すデータを提供する必要があります。
・2030年までにPUE（電力使用効率）が1.3未満、温暖地では1.4未満
・2025年末までにエネルギーの75％をクリーンエネルギーで賄い、2030年末までに100％をクリーンエネルギーで賄うこと
・2025年までに、高い水ストレスを抱える地域では、1kWhあたり最大0.4リットルを使用
・2025年に実際の再利用の目標を設定し、使用済みサーバーの100％をリサイクル可能か「評価」
・排熱の再利用を「検討」

Pactは、全加盟100社以上と公表しており、リストには89社が掲載されています。このうち、22社は2022年と2023年に加盟し、まだ認定を受けるのに十分なデータを収集し提出できていません。

2021年に加盟した67社のうち、11社はデータを提出して第三者による完全な認証を受けることに 成功している一方、大多数（46社）は社内で認証プロセスを進め、「自己認証」しています。

完全な認証を受けているのは、ほとんどが Googleなどの大手企業で、IBM、Intel、Iron Mountain、NTTになります。

3社がリストから漏れています。フランスの巨大企業 Atos、Register、そして先月 Opcoreとして独立したIliad の子会社であるScalewayです。

7社の認証が申請中で、そのうちの3社はマイクロソフト、フランスのOVHcloud、ドイツのT-Systemsといった重要な企業となっています。

Pactは、この保留状態は書類作成の困難さによる一時的な措置であると説明しています。「報告書の複雑さに加えて、EU分類法やエネルギー効率指令（EED）を含む新しい法規制への対応のため、認定プロセスには予想以上に時間がかかりました。その結果として、7月1日の期限までに認証を完了していない加盟企業も少なからずありました。そのため、暫定的に「Certification – Pending 」のステータスが付与されました。審査結果が取締役会に報告され次第、完全に認証を取得する予定です」

EUDCAの責任者であるMichael Wintersonは、次のように述べました。「この協定が発足した当初、データセンター業界に対する欧州連合（EU）の規制を阻止するための動きであり、恐らくデータセンターは分類法やEEDといった規制から免除されるだろうとの見方もありましたが、今回の発足に際し、EUDCAはEUの手間を省くことが目的となります。EUが規制環境を整え、その管理機関を設立するのは非常にコストがかかります。私達は、そのような莫大な財政的負担を免れました」

2022年になって、PactはEUの分類法に対する進展状況を確認する監査の枠組みを発表しました。

Pact Boardの会長であるMatt Pullenは、次のように述べました。「認証に成功した加盟社の割合が極めて高いことは、2030年までに気候変動に左右されないという厳しい目標を達成するための重要な一歩として、業界が自主規制に取り組んでいることを明確に示しています。この重要な節目を達成するために懸命に努力し、尽力してくれたすべての加盟組合に、この場をお借りしてお礼を申し上げます」

Pactの報告によると、2社の事業者はまだ認証プロセスを開始したことを理事会に報告しておらず、1社の中小企業はまだ国内の業界団体に自己認証のステータスを確認できていません。両社とも60日以内に理事会に最新情報を報告しなければなりません。

この記事は海外Data Centre Dynamics発の記事をData Center Cafeが日本向けに抄訳したものです。