Sabey社長、ハイパースケーラーが効率改善を妨害していると非難

メガクラウド各社は、自らのデータセンターは高温で運用しているにも関わらず、ホールセール事業者に対しては過冷却を要求している、とSabeyのRob Rockwood氏は語る

業界有識者の話によると、メガクラウド各社(以下、ハイパースケーラーと表現)は、自らの持続可能性の主張とは裏腹に、コロケーションの貸主に対し、エネルギーの浪費を強いているようです。

ハイパースケーラーは自社施設の設定温度を上げることでエネルギーと排出量を節約していますが、その一方でレンタルスペースでは無駄を生じさせているといいます。

 Bisnowは、Amazon、Google、Meta、Microsoftなどの企業は、サードパーティのDC事業者に対し、データセンター内を必要以上に冷却するような契約条件を要求しているとするSabey Data CentersのRob Rockwood社長の発言を報じています。

データセンターは通常、IT機器から熱を除去して環境を冷却するために、使用エネルギーの約3分の1を消費していますが、事業者が冷却システムの設定を調整し、室温を上昇させれば、これを削減することができます

歴史的に、データセンターは20℃から22℃程度に保たれてきましたが、ASHRAEなどの団体は、何年も前からサーモスタットを高く設定するよう各企業に助言を行ってきました。 2008年、インテルは450台のサーバーを外部冷却なしで10ヶ月間稼動させ、温度は33.3℃に達しましたが、悪影響はありませんでした。

ハイパースケーラーからの公式声明も、この動きを後押ししてきました。 実証実験や 本番環境において、Facebookは29.4°Cまで、Googleは26.6°Cまで、Microsoftは27°Cまで設定可能であることを示唆するガイドラインを発表しました。 コロケーション事業者のエクイニクスも、コロケーション利用顧客の協力のもと、施設の設定温度を上げる措置に踏み切りました。

しかし、このような取り組みは、エクイニクスが所有する、あるいはリースしている施設に限定されているようです。 Bisnow社のイベントにおいてRockwood氏は、ハイパースケーラーがホールセール・コロケーション・スペースを借りる際には異なるルールが適用され、ホールの温度を必要以上に低温に保つ契約条件を要求し、施設所有者に冷却のためのエネルギーを浪費するよう要求していると発言しました。

コロケーション事業者は冷却条件の変更を求めているが、ハイパースケーラー側は協力を拒否しているようです。

「業界として、データセンター内部で何が行われているのかについて、より合理的な(契約を)結ぶことができれば、データセンターを提供するコストが下がり、リース料も下がり、使用される電力量も減るでしょう」と、Rockwood氏はBisnowに語っています。 「全体として、より効率的な運用が可能になる」

ハイパースケーラーは、自社施設を運営するだけでなく、運用温度などのパラメータを指定した契約に基づいて、ホールセール・コロケーション・スペースの大規模スイートを賃借しています。 これらの条件を満たさない場合、金銭的なペナルティが課されたり、コロケーション契約が打ち切られたりすることもあり得ます。

Rockwood 氏や 他の役員によると、ハイパースケーラーは、新しいSLAの交渉が行われた場合でも、彼らのコロケーションSLAの中で時代遅れの温度にこだわっていると話しています。

Bisnowは、ハイパースケーラーの調達部門は、各事業者の環境・社会・ガバナンス(ESG)部門がより高い設定温度を望み、また持続可能性報告書で各事業者のデータセンターがより高い設定温度で稼動していると謳っていたとしても、事業者に標準的な契約に同意するよう強制するインセンティブがあるためだと指摘しています。

Stream Data CentersのStuart Lawrence氏は、このような厳しいSLAによって、コロケーション事業者はさらにハイレベルな冷却システムを構築することになる、と同サイトに語っています: 「私たちは一般的に、最悪のシナリオに基づいて設計しています」

DCDはこの件に関して、AWS、Microsoft、Googleに対し情報を求めています。

この記事は海外Data Centre Dynamics発の記事をData Center Cafeが日本向けに抄訳したものです。

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