ソフトバンクの野望 -米パケット社、H/W開発のクラウドサービスを展開
米国パケット社は、クアルコムによって開発されたArmベースチップ”Centriq 2400”を使い、クラウド環境で48コアサーバーへのデプロイを可能とする数少ないサービスの提供を開始するようです。Centriq 2400は、10nmのプロセッサーを利用した世界初のCPUであり、トランジスタのダイ毎に組み込みが可能となります。
もともとクアルコムは、スマートフォン向けのプロセッサ市場において強力な力を持つITの巨人です。今回、Armベースのチップを開発したことからも、「スマートフォンのデバイス数」以外にも売上のベースを獲得したいという意図が読み取れます。
Centriq2400は、48コアとそこまで大きくはないですが、データセンター向けのプロセッサ市場を意識したチップであり、実際に2017年からMicrosoftのデータセンターでも利用されています。Open Compute Project内で、Centriq2400を使ったシステム仕様を広め、業界スタンダードを確立しようとしているようです。
ハードウェアを直接管理
パケット社のエンジニア部門でシニアバイスプレジゼントを務めるNathan Goulding氏は、「あらゆるレベルのソフトウェアで発生している急速な技術革新や、IoTなどが流行している今、開発者がハードウェアを直接コントロールできるようになることはタイミング的にも大きなチャンスとなります」と語りました。
自動運転やドローン、ウェアラブルデバイスなどへの応用が期待されるArm社の技術は世界中から注目されていますが、この英国の企業は、昨年、日本の大手通信会社ソフトバンクによって3兆円もの金額で買収されています。また、米国スタートアップであるパケット社も同様にソフトバンクから最大の出資を受けています。
パケット社はベアメタルクラウドサービスの開発を専門としており、ニューヨーク、サニーベール、アムステルダム、東京の世界4都市をベースに、x86サーバーとARMプロセッサのハードウェア組み込みを提供しています。提供されるサーバーは物理・仮想環境を組み合わせたベアメタルサービスであるため、利用者は自身の好みに応じたOSや仮装技術を選ぶことが可能です。
業界でのスタンダード化を狙う?
2016年には、Cavium社のプロセッサーをパブリッククラウド環境で積極的に利用したパケット社ですが、現在はArmベースのマイクロプロセッサーへ注力しており、グーグルなどが実際に導入しています。また、日本でも2016年末よりサービスを提供しています。(ロイター通信より)
クアルコムデータセンターテクノロジー社の製品管理ディレクターを務めるElsie Wahlig氏は、「ユーザーが直接ハードウェアへアクセスし、管理、開発できるような経験を可能とすること。パケット社との協力は、私たちが共通して掲げるこのビジョンへの第一歩となる。パケット社と協力し、オープンソースコミュニティへ多くの知見を送りこめることに大変興奮しています。」と語りました。
クアルコムデータセンターテクノロジー社は、Centriq2400を利用したシステムの仕様をOpen Compute Projectへ提出しており、データセンターでの影響力を強大化させようと取り組んでいます。
今後パケット社は開発者向けのカンファレンスに参加し、どのようにCentriq2400を用いてワークロードを制御するのかデモンストレーションをするとのことです。このツアーは、ロンドンのAnabilitiesFest、オースティンのHashiconf、ロサンゼルスのOpen Source Summit、サンフランシスコのAncialFestへと続きます。
-Data Center Dynamics
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