EV車の再利用バッテリーがカリフォルニアの送電網に25MWhの貯蔵を提供
日産とホンダのバッテリーパックの再利用
エネルギー企業のB2U Storage Solutions社は、電気自動車の中古バッテリーパックを使って、カリフォルニア州の太陽光発電所に25MWhのバッテリーストレージを建設しました。
このSEPV Sierra施設では、ホンダと日産の電気自動車(EV)のバッテリーパック1,300個を使用して、カリフォルニア州の送電網に接続する25MWhのエネルギー貯蔵施設を構築し、必要となる時まで再生可能エネルギーを貯蔵します。尚、この施設は3年前から稼働しており、最近、4MWhの容量が追加されました。
電気自動車はリチウムイオン電池を使用しますが、その寿命は長いものの、性能が劣化すると移動用途としては適さなくなります。10年の寿命を終えた自動車では、電池の充電容量は80%になり、航続距離が短くなりますが、電池はまだまだ据置用途で有効な働きをしてくれます。
EV市場の拡大に伴い、将来的にセカンドライフ(再利用)バッテリーの供給が膨大になる可能性があります。マッキンゼーは、2030年までに中古EVバッテリーの利用可能容量は200GWhを超える可能性があると推定しています。
静的エネルギー貯蔵システム(ESS)の利用機会は、以前から知られていました。2015年、GMは、生産中止となったVolt車のバッテリー5個を、ミルフォード試験場で 電源としてのテストを行っていることを発表しました。それ以前にも、Eaton社が日産リーフのセカンドライフ・バッテリーをUPSシステムで利用することを実証しています。
B2U(Battery Second Use)社は、2020年からシエラの施設を商業的に運営し、それを段階的に拡大し、2022年だけで約100万ドルの収益を上げたとしています。これは現在、セカンドライフEVバッテリーをベースとした蓄電システムとしては世界最大規模となっており、また、安全規格UL9540の認証も取得しています。
施設内では、バッテリーユニットはそのままハンガーに設置され、B2U社のEVパックストレージ(EPS)システムに接続され、既存のコンセントから充電・放電が行われ、同社の標準バッテリー管理ソフトウェアで管理さ れています。B2U社によると、この設備は他のEV用バッテリーにも簡単に対応でき、すでにGM Boltや Tesla Model 3のバッテリーパックのテストに 成功したと述べています。
B2Uストレージソリューションズの共同設立者兼CEOであるFreeman Hall氏は次のように述べています。「B2UのEPS技術は、大規模エネルギー貯蔵におけるセカンドライフの課題を解決するために開発されたものです。EVバッテリーパックは、パックの既存のバッテリー管理システムを利用してキャビネット筐体に配置され、再利用のコストをほぼ排除できます。EPSのキャビネットコントローラーは、充電・放電サイクル中に直列・並列に接続された電池の接続・切断を行い、容量の小さい電池が強い電池の出力を制限することがないようになっています。このアプローチにより、セカンドライフ・バッテリー特有の容量のばらつきにもかかわらず、効率的なエネルギー収量を実現することが可能となりました」
大規模なリチウム電池の導入施設では、個々の電池が熱暴走を起こすと発火することが知られており、セカンドユーザーシステムは信頼性が低くなると考えられているため、安全性に関する問題は重要です。2021年にはイリノイ州モリスで、Superior Battery社に保管されていた80トンの中古EV用電池の火災を消防隊が必死に食い止めながら、数千人が4日間避難する事故が発生しました。また2021年8月には、オーストラリアの3MWhのテスラ電池貯蔵施設で、13トンの輸送コンテナが出火し、4日間にわたり自然消火させる必要がありました。
B2Uは、同社の施設はUL9540認証を取得しており、それぞれのバッテリーは監視され、設計限度から逸脱した場合には自動的に接続が解除されると強調しています。
バッテリーを再利用することで、循環型経済が実現し、世界のリチウムの供給が限られている中で、新しいバッテリーを生産するプレッシャーから解放される可能性もあります。
新しいリチウムイオン電池の需要に対応するため、米国エネルギー省(DOE)は昨年、オハイオ州、テネシー州、ミシガン州にある新しいリチウムイオン電池セル製造施設の建設資金として、25億ドルの融資を Ultium Cells 社に融資しました。Ultium社はゼネラルモーターズとLGエナジーソリューションの合弁会社で、米国のEV用電池ユニットの需要に応えることを目的としています。
この記事は海外Data Centre Dynamics発の記事をData Center Cafeが日本向けに抄訳したものです。
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