AirTrunkがサステナビリティに連動した資金調達を160億豪ドルに拡大

60以上の金融機関が支援

アジア太平洋地域でデータセンターを展開するAirTrunkは、160億豪ドル(約1兆1,000億円)規模のサステナビリティリンクファイナンス(SLL)を完了したと発表しました。Blackstone傘下の同社は、60以上の銀行・金融機関による支援を受けてこの資金調達を実現しました。

この資金調達は、アジア太平洋地域で過去最大のSLLとされており、オーストラリア、香港、マレーシア、シンガポールにおける主要な新規および既存の資産を対象とした複数の取引で構成されています。

今回の調達により、AirTrunkのファイナンスプラットフォームは180億豪ドル(約1兆1,670億円)以上に拡大され、これには日本での事業も含まれています。

AirTrunkの創業者兼CEOであるRobin Khudaは、次のように述べています。「2024年のBlackstoneとCPPIBによる240億豪ドル超の買収を経て、当社は急速な成長を支えるために債務ファイナンスプラットフォームを拡充しました。180億豪ドルすべての資金調達をサステナビリティに連動させることで、スケールアップへの長期的なコミットメントを示しています。これは、デジタル経済を支える重要なインフラを構築しながら、環境・社会に持続的なポジティブな影響を与えることを目指すものです。」

このリファイナンスは、4つの個別取引で構成されており、すべてがグリーンローンまたはSLLとして設計されています。

資金調達に連動するサステナビリティKPIには、エネルギー効率、水資源の効率化、再生可能エネルギーの導入、ジェンダー間の賃金格差是正などが含まれています。利率調整による節約分は、AirTrunkの社会的インパクトファンドに充てられ、地域社会への貢献活動に活用されます。同社は2030年までにカーボンニュートラル達成を目指しています。

シンガポールでは、以前に調達した22.5億シンガポールドル(約1.75億米ドル)のグリーンローンが、Loyangにある「AirTrunk SGP2」の開発に充てられます。同社によると、これはシンガポールで最大のデータセンター向けローンかつ、グリーンローンとのことです。

メルボルンでは、今回のグリーンローンがアジア太平洋・日本地域で最大規模であり、社会的インパクトプログラムに連動した利率調整メカニズムを世界で初めて導入したローンとのことです。

さらにAirTrunkは、災害支援を資金調達構造に組み込んだ世界初の企業としても知られており、利率調整による節約分が地域の緊急支援活動に活用されます。

AirTrunkの副社長兼財務責任者であるLuke Stephensは、次のように述べています。「今回の160億豪ドル相当のリファイナンスは、AirTrunkのサステナブルファイナンスの旅における重要な節目です。2021年に業界初のSLLを導入して以来、責任ある成長と社会的価値創出を推進するために常に限界に挑戦してきました。多様な金融機関と協力し、目的と資本を一致させる市場をリードするソリューションを提供できたことを誇りに思います。」

AirTrunkは2018年に設立され、2024年にBlackstoneとカナダ年金基金(CPPIB)によって161億米ドルで買収されました。これはデータセンター業界で過去最大の買収案件です。

現在、同社はシンガポール、香港、マレーシア・ジョホール、日本(東京2拠点・大阪)、オーストラリア(シドニー3拠点・メルボルン)にデータセンターキャンパスを展開・開発中です。

持続可能性に関連した資金調達は、データセンター企業や通信事業者がプロジェクト資金を調達するための方法としてますます人気が高まっています。SLLを使用すると、企業は特定の持続可能性目標を達成した場合、より有利な債務金利を確保できます。グリーンボンドでは、企業は事前に合意された持続可能性基準を満たす特定のプロジェクトのために資金を調達します。

この記事は海外Data Centre Dynamics発の記事をData Center Cafeが日本向けに抄訳したものです。

関連記事一覧

  1. この記事へのコメントはありません。