
データセンター業界のロビー団体、環境影響データを非公開とするEU規定を確保
マイクロソフト、Amazon、Google、Metaなど大手が関与
EUの大手データセンター事業者の一部が、EU法の秘密保持条項を利用し自社の環境影響に関する重要な情報の一般公開を阻害しているとして、批判を受けています。
Investigate Europeの報道によると、マイクロソフトおよび、Amazon、Google、Metaなどを会員に含むロビー団体のDigitalEuropeは、欧州全域にある自社データセンターそれぞれの個別のカーボンフットプリントを非公開のままにすることに成功したとされています。
各事業者は、EU内のデータセンターからエネルギー効率や水使用量などの主要指標を収集することを目的とした欧州委員会(EC)の法制度に対し、条文修正を確保しました。2024年の修正法により、事業者はこれらの指標を機密かつ商業上機密性の高い情報として分類できるようになり、事実上一般からのアクセスが遮断されました。
Investigate Europeが10人の著名な法学者に取材したところ、この秘密保持条項はEUの透明性ルール、特に環境問題に対する情報への市民の権利を定めたオーフス条約に基づくEUの義務に違反する可能性があると指摘しています。
オーフス条約の監督機関に19年間所属していたJerzy Jendrośka教授は、Investigate Europeに対し次のように述べています。「この20年間で、これに匹敵する事例を思い出すことはできません。これは明らかに条約に沿ったものではないように見えます。」
最終的な法文では、「ECおよび関係加盟国は、個別のデータセンターに関するすべての情報および主要業績評価指標(KPI)を機密として保持しなければならない。これらの情報は、データセンターの運営者および所有者の商業的利益に影響を与える機密情報と見なされるものとする。」と規定されています。
この結果、公表されるのは国レベルで集約された大まかなデータのみとなり、個々のデータセンターが環境に与える正確な影響に関する情報は、情報公開請求を通じても入手できません。
Investigate Europeによると、取材に応じたECは秘密保持は当初から提案に含まれていたとして、記録に残る形でのコメントを控えました。匿名を条件に語ったEU関係者は、「協議の過程でこのテーマについて多くの意見が寄せられました。我々はそのフィードバックを分析し、通常の手続きに従って、それを反映した文面を採用しました」と述べています。
こうした批判に対し、マイクロソフトの広報担当者はInvestigate Europeに対し、次のようにコメントしています。「私たちは、データセンターを巡る透明性の向上を支持しています。サスティナビリティに関する情報開示は、より良い成果を後押しし、社会的な信頼を築く助けになります。当社は2030年に向けて、炭素、水、廃棄物、生物多様性に関する意欲的な目標を掲げ、高い基準に基づいてパフォーマンスを測定しています。機密性の高い事業情報を保護しつつ、さらなる情報開示に向けた取り組みを進めています。」
Investigate Europeは、関係者の話として、すべてのデータセンターの情報を公開すれば、事業者が報告自体をやめてしまう可能性があるというのが欧州委員会内部の見方だと伝えています。ただし、EUがこれまでに収集できたのは対象となるデータセンターの約36%分にとどまっており、施設数にすると約770か所に過ぎません。
EUのこうした投資家寄りとも受け取れる姿勢は、地域の活動家の間で強い懸念を呼んでいます。非営利団体Client Earthの弁護士のIoannis AgapakisはInvestigate Europeに対し、地域社会との協議を形式的に済ませてしまうことは、人々が重大な問題を指摘する機会を失うことにつながりかねないと語りました。さらに、「最悪の場合、手続き面または実質面で違法性をはらむプロジェクトを正当化してしまう恐れがあります」と述べました。
欧州のデータセンター市場は今後急速に拡大すると見込まれています。現在およそ9.2GWとされる容量は、2030年には17GW超に達すると予測されており、この成長の大きな要因はAIです。その結果、この分野から排出される温室効果ガスも急増するとみられており、データセンターの規模自体も大幅に大型化しています。個別のデータセンターごとの影響に関する報告が欠如している現状は、独立した第三者機関がその影響を検証する能力を著しく制限し、ひいてはEUが炭素削減目標を達成する能力そのものを損なう可能性があります。
この記事は海外Data Centre Dynamics発の記事をData Center Cafeが日本向けに抄訳したものです。
















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