グーグル、エッジコンピューティングのMobiledgeXを買収

検索エンジン大手、コードをオープンソース化し、Google Cloudの一部として運用へ

ドイツテレコムの支援を受けていたMobiledgeXが、グーグルに買収されました。

グーグルは4月29日、ドイツテレコムから、サンフランシスコに本社を置きエッジコンピューティング管理を手掛けるMobiledgeX社を買収し、同社のコードをオープンソース化する意向を明らかにしました。

2018年初めに設立されたMobiledgeXは、エッジコンピューティング資産向けの共通のオーケストレーションレイヤーの開発を目指すエッジコンピューティング管理のスペシャリストです。同社は、Orange、BT、Telefónicaなど、約25社の通信事業者と協業していました。

今回の買収の財務的な詳細は公表されておらず、スタッフの異動も発表されていません。ただし、MobiledgeXのCEOであるJason Hoffman氏はGoogleには入社せず、MobileXのVPであるJames Blom氏とともにコンサルティング会社「S8 Advisory Partners」を立ち上げたといいます。LinkedInのアカウントを見る限り、MobileXのCOOであるLeah Maher氏は、Googleに入社したようです。

グーグルの広報担当者は、この新たな買収について次のように述べています。「グーグルはMobiledgeXを買収した。オープンソース・ソリューションとして、その影響力の継続を期待する」

ドイツテレコムは、この買収について次のように述べています。「我々は、MobiledgeXがGSMAやオペレーターコミュニティとの様々な取り組みで通信業界に貢献してきたことを誇りに思っており、オープンソースソリューションとしてその継続的な影響力を楽しみにしている」

今年初め、GSMAとのこうした取り組みの1つとして、MobiledgeXは、Edge-Cloudプラットフォームのバージョン3.1で「あらゆる標準的なモバイルエッジコンピューティングプラットフォーム間のフェデレーション」を実現したと発表していました。

今回の買収は、MobiledgeXが新たな通信事業者との契約や、新たな投資ラウンドを発表後わずか1年足らずで実現しました。当時資金調達の数字は公表されていませんでしたが、取締役会にはサムスンとVMwareが参加し、新たな支援企業としてWorld Wide TechnologyとSK Telecomも発表されていました。同社は2021年11月には、Open Grid Allianceに加盟していました。

Analysys MasonのCloud Research DirectであるCaroline Chappell氏はこの買収について次のように述べています。「MobiledgeXを買収してオープンソース化することは、例えばLinux Foundationへの加盟や、最近のGoogle/RF共同のNephio cloud-native network automation initiativeの発表に見られるように、事業者のクラウドネイティブネットワーク変革のオープンソースチャンピオンとなろうとするGoogleの戦略に非常に合致する」

「これはMobiledgeXにとって良いことだが、Linux Foundationのオープンソースエッジイニシアチブは他にもあり、例えばWind Riverが構築しているStarlingXがある。Google/LFNがすべきことは、おそらくOpen Grid Allianceが開発しているものに沿って、エッジオーケストレーションスタックのこれら全ての技術/レイヤーがどのように連携するかを明確に示すフレームワークを考え出し、市場のさらなる分断を避けることである」

MobileXのサイトとSNSページは現在オフラインになっており、またグーグルのサイト上でも買収に関する言及はまだありません。

今回の買収は、サイバーセキュリティ企業のMandiantやSiemplifyなどの買収と並ぶGoogle Cloud Platformによる最新の買収案件となります。

この記事は海外Data Centre Dynamics発の記事をData Center Cafeが日本向けに抄訳したものです。

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