Googleがオーストリアのデータセンター計画を本格始動~土地取得から17年越し

年内にもクロンストルフプロジェクトの建設許可取得の可能性

Googleは、約17年前に土地を取得して以来、停滞していたオーストリアでのデータセンター開発を、ついに本格的に進めると報じられています。

地元メディア(OOE ORFやDer Standardなど)によると、同社は、オーストリアのリンツ=ラント地区のクロンストルフにキャンパスを建設する計画を提出し、商業・建築当局に申請を行いました。年内にも建設許可が下りる可能性があります。

クロンストルフは、ウィーンとザルツブルクの中間地点に位置するリンツ近郊の町です。

クロンストルフの市長Christian Kolarik(ÖVP)はOOE ORF地元メディアに対し、「Googleは、リンツ=ラント地区の商業当局およびクロンストルフ市の建築当局に具体的なプロジェクトを提出しました」と語りました。

データセンターの仕様やスケジュールの詳細はまだ明らかにされていませんが、地元メディアによると、すでに敷地では整地作業が始まっており、重機も現地に入っているとのことです。

Googleは、この件について公式コメントを出していません。

同市長は、「Googleが今後の計画について発表する予定です。ただし、Googleには重要なガイドラインがあり、それらは現在専門家による公式な審査を受けています。その後、関係者全員との調整が行われ、Google自身が声明を出すことになります」と述べています。

Googleは2008年に、エンス川の水力発電所近くにあるクロンストルフの約70ヘクタールの土地を購入しました。当時の報道では、今後2年間で約2億ユーロを投資する予定だとされていました。

しかし、同社が契約上の建設義務を果たさなかったため、地域のインコバ協会(クロンストルフ=ハーゲルスベルク間の共同事業誘致団体)およびオーバーエスターライヒ州経済支援機関「Business Upper Austria」が土地売却の一部を取り消す手続きを開始しました。最終的に、Googleは50ヘクタールを保持し、残りの20ヘクタールは買い戻されることで合意しました。

その後も同社は、現地への関心を持ち続け、電力インフラの整備や地元関係者との定期的な会合を行ってきたと報じられています。

昨年、買い戻された20ヘクタールのうち半分の土地について、ドラッグストアチェーン(DM)が物流センターの建設を目的に購入を検討していると報じられました。

マイクロソフトは最近、ウィーン周辺にクラウドリージョンを開設しており、NTT、Digital Realty、AtlasEdge、A1、Exaなどの企業や地元企業がウィーン周辺でデータセンターを運営しています。

Googleはすでにヨーロッパ各地に大規模なデータセンターを展開しており、オーストリアの近隣諸国にも多数の拠点があります。ドイツのフランクフルト(ハーナウに自社施設あり)やベルリン、スイスのチューリッヒ、イタリアのミラノなどにクラウドリージョンを持っています。

この記事は海外Data Centre Dynamics発の記事をData Center Cafeが日本向けに抄訳したものです。

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