ユーチューバーが水中PCを製作
あなたもミニProject Natickを手に入れよう
ラックの高密度化が進み、それに伴ってデータセンターの冷却コストが上昇する中、いくつかの企業がデータセンターを海中に沈める実証実験を行っています。
マイクロソフトは、話題となったNatickプロジェクトで、このコンセプトを検証した最も有名な企業です。
しかし今、あるユーチューバーが、水中PCを作ることで、少なくともミニチュアの水中施設を誰でも持つことができることを示しました。
このプロジェクトは、ユーチューバーのDIY Perksさんによって構築され、以下で見ることができます。これは、大きな水塊がIT機器を受動的に冷却できるという同じコア・アイデアに従っていますが、PCを池に沈めるという小規模なものです。
DIY Perks(本名Matthew Perks)は、Nvidia GeForce RTX 4090、Intel Core i9 13900K、3台の4TB Crucial T700 SSD、1000W電源を搭載したシステムをおよそ5000ドルで構築しました。800Wのコンピューターはアクリルガラスと銅のフレームに収められ、完全密閉式の水冷システムを搭載しています。USB-Cケーブルが電源と通信機能を提供し、地上に設置されたモニターからシステムをテストすることができるようになっています。
「PCがこれほど速やかに周囲の水に熱を捨てることができるということは、冷却システムの能力の高さを示す良い指標となり、私たちは冷却能力のほんの一部分を見たに過ぎないと言えるでしょう」とPerksさんはコメントしています。
より大規模な Natick プロジェクトは、元米海軍潜水艦乗組員であったマイクロソフトの研究者 Sean James 氏が水中データセンターを提案する論文を書いた 2013 年に始まりました。2014年、マイクロソフトはそれを実際に行うことを決定し、Ben Cutler氏の下でNatickチームを結成しました。
翌2015年、マイクロソフトは8フィート(2.4m)の円筒を米国太平洋岸沖の水中30フィート(9m)に沈め、その3年後、長さ12mのコンテナに12ラックのサーバーを搭載し、スコットランドのオークニー諸島の水深117フィートで2年間稼働させてみせました。
この取り組みは当時成功したとされ、マイクロソフトはサーバーを格納するコンテナの巨大な「リーフ」のアイデアで特許を取得しましたが、その後Natickプロジェクトからは何も生まれていません。LinkedInでは、 Cutler氏は現在もNatick のリーダーとして ” 海中データセンターの実現可能性を探る ” と自身の仕事内容を記載しています。
同社の動きが鈍い間に、中国のライバル企業がその穴を埋めるべく参入してきました。
Beijing Highlanderという会社が2021年初めに広東省の港で4ラックの試験用船体を進水させ、その年の暮れにはサーバー上でチャイナテレコムのライブデータを稼動させました。
同年、Highlander社は海南自由貿易港でさらに大規模な 試験を行い、世界初の商用海中データセンターを100のデータキャビンから構築し、海底でネットワーク を構築し、電力・通信ケーブルを陸上と接続し、海南の原子力発電所から供給される低炭素電力で稼働させると発表しました。
中国の沿岸部では、海底データセンターのアイデアが採用されつつあります。このコンセプトは、海南省や山東省、沿岸部のアモイ市や深セン市など、いくつかの中国の地域当局の5カ年経済計画に盛り込まれています。海南省では、2022年1月にデータセンターを納入する契約が結ばれました。
米国に戻ると、スタートアップのSubsea Cloudが深海に沈めたデータセンターを提供する計画を立てています。HighlanderとマイクロソフトのNatickプロジェクトはどちらも圧力容器を使用しているのに対し、Subseaの設計は圧力を均等化し、ユニット内部をその水深と同じ圧力にするものです。つまり、同社が野心的な計画を成功させることができれば、頑丈な圧力容器を必要とするよりもシンプルで軽量なポッドを使用することができるということになります。
同社は昨年、3つの水中データセンター・プロジェクトを発表しました。
この記事は海外Data Centre Dynamics発の記事をData Center Cafeが日本向けに抄訳したものです。
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