富岳が引き続きトップ500で世界最速スパコンの座を維持
世界最速のスーパーコンピュータのトップ500の最新ランキングは、半年前の集計からほとんど変化がありませんでした。
日本の「Arm-powered Fugaku(富岳)」が依然としてトップ500をの頂点を支配し、新たにトップ10入りしたのはNERSCの64.6ペタフロップスのスーパーコンピュータ「Perlmutter」1台のみでした。
最速のスパコン
富岳は、7,630,848コアを使用したHPLベンチマークで442ペタフロップスを記録しました。これは、2020年11月に達成したものと同様ですが、初めて首位に立った昨年の今頃の415.53ペタフロップスを上回りました。
このスーパーコンピュータは、富士通のカスタマイズArm A64FXプロセッサをベースにしており、GPUは使用していません。
次に、オークリッジ国立研究所の148.8ペタフロップスのスーパーコンピュータ「Summit」が続きますが、これは発売から約3年が経過しています。システムには2万7,000基のNvidia Tesla V100 GPUと9,000個のIBM Power9 CPUの組み合わせが使用されています。
また、これも同様の設計であるローレンス・リバモア国立研究所の「Sierra」は、94.6ペタフロップスの性能で3位となりました。
4位は中国で、Sunway のSW26010プロセッサを搭載した「Sunway TaihuLight(神威・太湖之光)」が93ペタフロップスを達成しています。これは5年前のものです。
続く5位のPerlmutterは、初のHPE Cray Shastaシステムとして、AMD Epyc CPUSとNvidia A100 GPUの両方を備えたヘテロジニアスアーキテクチャが採用されています。
6位は、Nvidiaの社内用スーパーコンピュータであるSeleneです。予想通り、Nvidia DGX A100 SuperPODを大量に使用し、63.4ペタフロップスを達成しています。
中国は、61.4ペタフロップスの性能を持つ「Tianhe-2A」が7位に入り、2マシンがトップ10に入りました。
8位はAtosのBullSequanaスーパーコンピュータにEpyc CPUとA100 GPUを搭載した、ヨーロッパで最も強力なスーパーコンピュータである「JUWELS Booster Module」です。これはドイツに設置されており、44.1ペタフロップスの性能を発揮します。
9位は企業向けシステムの「HPC5」です。イタリアの大手化石燃料会社Eniが使用しているこのシステムは、Nvidia Tesla V100アクセラレータを採用し、35.5ペタフロップスを達成しています。
さらに、テキサス大学のTexas Advanced Computing Centerのスーパーコンピュータ「Frontera」が10位にランクインしました。システムは先日の大寒波による停電で停止していないタイミングで、44万8,448個のIntel Xeonコアで23.5ペタフロップスを達成していました。
トップ10以外の状況
最速のスーパーコンピュータランキングトップ10にはほとんど変化がありませんでしたが、それ以外の一覧からは多くのことがわかります。
まず、AMDが好調であるという事で、Top500ではAMDが採用されるケースが著しく増加しています。これは、インテルからシェアを奪う、サーバーおよびHPC分野におけるAMDの全般的な躍進と一致しています。
クラウドも成長しています。24位のPioneer-EUSと27位のPioneer-WUS2はいずれもMicrosoft Azureのインスタンスです(同社はOpenAIでトップ5のシステムを構築したとも言っています)。41位のAmazon EC2 Instance Clusterは、その名の通りAmazon EC2で利用されています。
中国勢はランクイン数が186台と依然として最多ですが、前回調査(212台)に比べて大幅に減少しました。
一方、米国は113台から123台に増加しました。これらのシステムを累積的に見ると856.8ペタフロップスとよりパワフルで、中国の445.3ペタフロップスを上回っています。
Top500では、中国のHPC企業に対する制裁の強化が関係しているのではないかとしながらも、「(中国のパフォーマンス低下の)理由を明確に証明するものはあまりない」としています。中国では、企業や研究所がスーパーコンピュータ機器を調達することが難しくなっているほか、規制当局に睨まれる可能性のある自主的なランキングシステムに参加する可能性が低くなっているようです。
中国はかつて、2020年までにエクサスケール(1,000ペタフロップス)スパコンの発表を目指していましたが、その目標は何度も延期されています。
中国では、国防技術大学(NUDT)、国家並列計算機工程技術研究センター(NRCPC)、サーバーメーカーのSugon(現在は制裁中)らが、それぞれエクサスケールのスーパーコンピューターの開発に挑んでいます。
無錫の国家スーパーコンピューティングセンターに設置されているSunway TaihuLightシステムのリプレースに向けて、これらの団体のうちの1つが採用したアプローチについてはある程度分かってきましたが、明確な期限に関する情報ははまだ不足しています。
米国のエクサスケール計画も、かなりの遅れが生じています。米国初のエクサスケール・スパコンは、当初、スパコン「Aurora」の遅れを取り戻すために計画されたものでした。インテルを搭載するこのマシンは、180ペタフロップスのシステムとして2018年に登場する予定でしたが、同社が搭載が予定されていたチップの開発を中止したことで、政府はこれを延期し、エクサスケールシステムとして計画をアップグレードしました。しかし、インテルは必要となる新チップの開発に苦戦しており、Aurora計画はさらなる遅れが生じています。
現状では、米国は今年、AMDのCPUとGPUを搭載する1.5エクサフロップスのスーパーコンピュータ「Frontier」の発表を予定しています。これは、CrayのShastaアーキテクチャーと、Permutterでも採用されているSlinghotインターコネクトをベースにしています。
Data Center Dynamics
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