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Project Goldeneye 〜IBM、大型量子コンピュータを冷却する「スーパーフリッジ」プロトタイプを構築

少なくとも3年は冷凍機を必要としないほどの大きさ

IBMは、将来の大規模量子コンピュータを格納するための概念実証用希釈冷凍機を開発しました。

Project Goldeneyeとして知られるこの「super fridge(スーパーフリッジ)」は、一般の大型冷蔵庫のおよそ700L(0.7㎥)を超える、1700L(1.7㎥)の容積を冷却することができます。これは、米国の平均的な冷蔵庫の約3倍のスペースに相当します。

今月、IBMはこれを動作温度(~25mK)まで冷却し、内部に量子プロセッサを配線することに成功したと発表しました。

このような温度を実現する冷凍機としては世界最大かもしれないこの「super fridge(スーパーフリッジ)」は、ニューヨーク州ポキプシーにあるIBMの量子計算センターに移設されることになっています。

希釈冷凍機は、ヘリウム同位体He-3(ヘリウム3)とHe-4(ヘリウム4)の混合物を使用します。これは混合物から熱を取り除き、真空ポンプを使ってそれを押し流し、温度が満たされるまで追加のHe-3をそこに希釈します。

Goldeneyeはこのプロセスを踏襲していますが、IBMはこれを改良し、競合他社の冷凍機よりも試作と組み立てが簡単なモジュラーデザインを採用したと主張しています。また、横開きのクラムシェルデザインで、外装を全部外さなくても内部にアクセスできるため、メンテナンスも容易となっています。

さらに、特別に設計されたジブクレーンが付属しているため、「いつか」一人でも冷凍機の管理が行えるようになるとしています。

Goldeneyeはここまで来るのに3年を要しましたが、IBMは、冷凍機がここまで大きくなる必要があるかどうかは実はよくわからないと話しています。

来年登場する予定のIBM Quantum System TwoはBluefors社のKide冷凍機を使用しており、これはより小さなプラットフォームだが、それでもIBMは2025年までに複数のプロセッサを接続できるようになります。

それでもIBMは、このシステムによって、2025年以降に開発される可能性のあるより大型のシステムを冷却する能力が得られるとし、そしてこれは他の極低温インフラの構想に対しても同様であると述べています。

また、このプロジェクトでは、極低温科学に関するより多くの知見が得られ、これはIBM Quantum System Threeシステムの開発にも役立てることができます。

IBMやD-Waveが開発した量子コンピュータは、極端な冷却インフラを必要としますが、室温で動作するシステムの構築を目指す企業もあります。(尚、DCDでは昨年、量子コンピュータを冷却するためのさまざまなアプローチに関する紹介を行いました)

この記事は海外Data Centre Dynamics発の記事をData Center Cafeが日本向けに抄訳したものです。

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