IBM、量子コンピューターをスーパーコンピューティング環境に統合するための青写真を提示

単一の計算手法では不可能な科学的課題の解決に向けたリファレンスアーキテクチャを公開

IBMは、量子中心のスーパーコンピューティング(quantum‑centric supercomputing)のためのリファレンスアーキテクチャを公開しました。

同社は、このアーキテクチャーが量子コンピューターを現代のスーパーコンピューティング環境に統合する方法を示し、量子プロセッシングユニット(QPU)がGPUやCPUと連携して「単一のコンピューティング手法だけでは解決できない科学的課題」を解決することを可能にすると述べています。

IBMのアプローチは、量子ハードウェアと、コンピューティングクラスター、ネットワーク、共有ストレージといった従来のインフラを組み合わせるものです。この基盤となるハードウェア層の上に、量子コンピューティングと従来型コンピューティングをまたぐ連携ワークフローを実行し、統合オーケストレーション機能やQiskitを含むオープンなソフトウェアフレームワークにより、開発者は慣れ親しんだツールを通じて量子コンピューティング機能にアクセスできます。

同社によると、複数の研究センターの科学者がすでにこの量子中心型アーキテクチャを利用し、「実際の実験に対して正確な結果」を出しているとのことです。その研究センターには、Cleveland Clinicも含まれており、同機関は303原子からなるトリプトファンケージ・ミニタンパク質のシミュレーションを実施しました。これは、これまで量子コンピューター上で実行された中で最大規模の精密な分子モデルの一つです。

さらに、理化学研究所とシカゴ大学の研究者チームは、特定の量子系の最低エネルギー状態を解明しました。また、別の理化学研究所のプロジェクトでは、量子コンピューターと古典コンピューターが連携して、硫黄鉄クラスターの大規模かつ高精度なシミュレーションを実現できるかを実証しました。

IBMリサーチディレクター兼IBMフェローのJay Gambettaは、次のように述べています。「40年以上前、Richard Feynmanは量子物理学をシミュレーションできるコンピューターを構想しました。当社では、長年にわたりそのビジョンを現実に取り組んできました。今日の量子プロセッサーは、化学における量子力学が支配する科学的課題の中でも最も困難な部分に取り組み始めています。未来は量子中心型スーパーコンピューティングにあり、量子プロセッサーが従来の高性能コンピューティングと連携して、これまで到達できなかった問題を解決します。IBMは、このコンピューティングの未来を現実にする技術とシステムを、まさに今構築しています。」

IBMは量子プロセッサーの開発を主導しており、2025年2月には、2017年第1四半期から2024年第4四半期までの間に量子ビジネスで10億ドルを受注したと発表しました。同年11月には、2026年末までに量子超越性(quantum advantage)を達成するとしており、2029年までに耐性障害性(fault-tolerant)な量子コンピューターを開発する目的を掲げています。

この記事は海外Data Centre Dynamics発の記事をData Center Cafeが日本向けに抄訳したものです。

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